ペロポネソス半島にあるティリンス遺跡をご存知ですか?
ギリシャ最古の文明の遺跡であり、様々な神話に関わりがある地域です。
ギリシャ神話で最も有名なヘラクレスの生誕地では?とも言われています。
今回はそんなティリンスについて、行き方・見どころ・注意点など、すべてご紹介します。
ツアーではなく個人で訪れる場合に必要な情報は、すべてこの記事で得られるようになっていますので、ぜひご一読ください!
※この記事は2023/07時点のレート、1ユーロ=157円で記載しています。
目次
1.ティリンス遺跡とは
ティリンス遺跡とは、古代ティリンス王国の遺跡でミケーネ遺跡とともに世界遺産に登録されています。
歴史あるギリシャの中でも特に古いミケーネ文明の時代のもので、非常に歴史ある遺跡です。
時期としては、紀元前1600年〜紀元前1200年ごろのものです。
ペロポネソス半島にあり、アルゴスから東に約8km、ナフプリオから北に約4kmの場所に位置する場所にあります。
このティリンス遺跡は、残念ながら、観光スポットとしては知名度があまり高くないです。
しかし、ギリシャ最古の文明だったり、いろんな神話で登場したり、興味深い遺跡です。
■同じミケーネ文明の遺跡、ミケーネ遺跡の記事はこちら!
2.ティリンス遺跡にまつわる神話
2-1.英雄ペルセウスが王になるまで
アルゴス王アクリシオスは「孫に殺される」という予言を恐れ、一人娘のダナエーを幽閉します。
しかし、ダナエーはゼウスに見初められ、息子ペルセウスを出産します。
これにより、ダナエーとペルセウスは島流しにされてしまい、たどり着いた島でダナエーはまた島の王に言い寄られます。
ダナエー、よっぽど美人だったんでしょうか…モテすぎです。
ペルセウスを邪魔に思った島の王は、彼に無理難題を突きつけました。
これがあの有名なメドゥーサ退治です。
メドゥーサは髪の毛が蛇で、見たものを石に変えてしまう邪眼を持った怪物です。
アテナやヘルメスなどの神の力を借りつつ、ペルセウスはメドゥーサを倒し、持って帰ってきたメドゥーサの首を使って、島の王を石に変えてしまいます。
そして、母とともにアルゴス王国に帰還します。
彼の帰還を恐れたアルゴス王アクリシオスはアルゴスを逃げ出し、ペルセウスがアルゴス王となります。
王になった後、ペルセウスが競技大会で円盤投げを行ったところ、観客の一人に当たってしまいました。
その円盤が当たった老人が先王アクリシオスで、こうして予言のとおりになってしまったのです。
不慮の事故とはいえ、祖父を殺してしまったことを悔い、ペルセウスはアルゴスの王であることを拒否します。
その結果、近くのティリンス王と領土を交換することになり、ペルセウスはティリンス王となりました。
そのため、その後のティリンス王家はペルセウスの子孫ということになります。
2-2.ヘラクレスの生誕地?
英雄ペルセウスの孫であるアルクメーネーは叔父アムピトリュオーンと結婚しており、二人はたいそう仲の良い夫婦でした。(アムピトリュオーンもペルセウスの孫)
アルクメーネーを気に入ったゼウスはアムピトリュオーンに化けて、アルクメーネーに近づきました。
こうして、アルクメーネーはゼウスの子ヘラクレスを身ごもり、翌日本物のアムピトリュオーンとの子イーピクレースを身ごもります。
ゼウスは本当にいろんなところに波風を立てて行きますね…
そもそもペルセウスだってゼウスの子だというのに…
このアルクメーネーがヘラクレスとイーピクレースを産んだ場所が、ティリンスまたはテーベと言われています。
3.ティリンス遺跡への行き方・帰り方
3-1.行き方
私たちはナフプリオからティリンスに行きましたが、ナフプリオ→ティリンス→アルゴス(反対向きもあり)という経路のため、アルゴスからもアクセス可能です。
ナフプリオバスステーションからは、1時間に1本の頻度でバスが出ており、1人1.6ユーロ(約250円)、約10分で到着します。
チケットは当日チケットオフィスで購入可能です。
バスはティリンス遺跡まで徒歩1分の場所で降ろしてくれます。
思いっきり道の真ん中で降ろされますが、すぐ裏にティリンス遺跡があるので安心してください。
■ナフプリオ→ティリンス 時刻表
KTEL Argolida
■ナフプリオバスステーション
■オンラインチケット
KTEL Argolida E-ticket
※ティリンスは「ARCHAEA TIRINTHA (ACROPOLI_TSEKREKOU)」を選択
ナフプリオは「NAFPLIO(BUS STATION)」を選択
バス停名の横のマップポイントマークを押すと、地図を確認できます
アルゴスから出発する場合も上記で検索可能です。
■ギリシャは都市間移動がわかりづらすぎるので、こちらにまとめました
ギリシャ・ローカルバス、観光スポット公式サイトまとめ【観光大国の意地を見せてくれ】
3-2.帰り方
行きのバスで降ろされた場所が帰りのバス停です。
向かう方向が行きと逆なので、反対側の道路で待っていてください。
1点注意なのは、ギリシャのバスはバスが来たときに手を挙げる必要があるということです。
手を挙げずに運転手にも気づかれないと…民家もほとんどないティリンス遺跡の近くで途方に暮れることになります。
■ティリンス→ナフプリオ 時刻表
KTEL Argolida
※ARGOS – ARCHAEA (ANCIENT) TIRINTHA – NAFPLIOの出発時刻に+5〜10分したものがティリンスの時刻表になります。
■ティリンスバス停
4.料金・営業時間
ティリンス遺跡の料金、営業時間は下記のとおりです。
<料金>
1人4ユーロ(約630円)
※25歳以下は半額
※11月〜3月は半額
<営業時間>
8:00〜15:30
■詳しくはこちら
Tour of the monuments of Argolis
25歳以下の方は年齢確認できるものを求められると思いますので、パスポートを携帯しておきましょう。
見ての通り、ティリンス遺跡は閉まるのが早く、15:30には閉まってしまいます。
私は午前にミケーネ遺跡、午後にティリンス遺跡観光だったので、着いてから愕然としました。笑
とはいえ、ティリンス遺跡は1時間ほどで回れる遺跡ですので、なんとかなりました。
また、複数の遺跡を回られる方は、Singleチケットという、お得なチケットがあります。
<Singleチケット> 1人20ユーロ(約3,140円) 下記のスポットに入場可能です。 ・ミケーネ遺跡と博物館(12ユーロ) ・ティリンス遺跡(4ユーロ) ・アディネ遺跡 ・アルゴスのビザンティン博物館 ・ナフプリオ考古学博物館 ・ナフプリオのパラミディ要塞(8ユーロ)
有効期限は3日間です。
遺跡で直接購入することも可能です。
5.見どころ
5-1.城壁
ティリンスはホメロスの叙情詩にも詠われるくらい、立派な城壁が見どころです。
この城壁はサイクロプス様式と呼ばれています。
このサイクロプスというのは、単眼の巨人キュクロプスに由来しており、巨人じゃないと運べないような巨石を用いて作られた城壁のため、このように呼ばれています。
実際、城壁の石はとても大きいです。
平均して80cm四方のものが多かったです。
ここまで大きな石で作られた遺跡は世界でもなかなか無いと思いますので、ぜひ見てみてください。
5-2.メインゲート(東門)
このメインゲートは見た目に一番圧倒されるスポットです。
このあたりの石は城壁以上に大きく、平均して100cm四方のものが多かったです。
2つ積むと、余裕で私の身長を超えます。笑
両側に巨石が積まれた道の先には、東門があります。
この門へ続く道は非常に綺麗に残っており、ティリンスの強固さを間近で感じることができます。
5-3.王宮
ティリンスの王宮は他の遺跡と比べて大きいです。
(もちろん私たちが一般的に想像するような王宮よりは圧倒的に小さいのですが…)
例えば、同時代のミケーネ遺跡の王宮なんかはティリンスの半分くらいしかありません。
これはティリンス遺跡の王宮跡が他の遺跡より綺麗に残っていただけなのか、それとも別の理由があるのか…
王宮跡は大きいだけでなく、しっかりと部屋の作りまでイメージできるほど綺麗に残っています。
例えば、ここがドアだったんだなとか、ここは通路だったんだなとか、ここは大きい部屋だから王様の部屋かな?とか…
残念ながら、ティリンス遺跡は案内板が少ないです。
そのため考古学的推測はわからないのですが、代わりにイメージが掻き立てられる遺跡だと思います。
5-4.浴場
浴場は結構いろんな遺跡で見つかっているのですが、この遺跡の浴場の驚くべき点は王宮内に浴場があるということです。
今までの遺跡では、浴場はあくまで公衆浴場であり、当然王宮の外の一般市民エリアにありました。
この浴場は王宮内にありますので、王家の人々が使っていた浴場なのです。
考えてみると、一般市民の浴場があるのであれば、王家の人専用の浴場はあって当然なのですが、これまで見たことがなかったので驚きました。
やはり他の遺跡ではここまで詳しく王宮跡が残っておらず、それに対してティリンス遺跡はしっかり王宮内が残っているからこそ、見れる浴場だと思います。
その浴場ですが、結構小さめで、人が二人入るとかなり狭く感じる程度の大きさです。
まぁ王家の人々なので、同時に二人入ることもなかったのかもしれませんが、それにしても小さいものです。
意外でしたが、なかなか面白かったです。
5-5.西門
この西門は、まるで巨石同士の間に隙間ができたかのような門です。笑
「岩を積み上げただけ」のような門をくぐり、城壁に挟まれた階段を登ると、まるで古代にタイムスリップしたかのように感じることができます。
また、この門の上には留め具のようなものがあり、いつか崩壊するんじゃないかというハラハラ気分もついでに味わうことができます。笑
ちなみに、この門に続く階段ですが、一段一段の段差が低く、歩きやすいです。
これも珍しいのではないでしょうか?
古代遺跡の階段はたいてい一段が大きく、登るのに苦労します。
この階段は小さくて登りやすかったので、驚きました。
6.注意点
ティリンス遺跡を訪れる際の注意点は以下の通りです。
- 暑さ対策をする
- 水分を持参する
- 営業時間に気をつける
ティリンス遺跡は太陽の照りつけが厳しいです…
サングラスや防止、日焼け止めなど対策はしっかりしていきましょう。
また、周辺にはお店等は全くありません。
チケットオフィスでも水などは売っていませんので、必ず持参しましょう。
持って行き忘れると本当に危険です。
4.料金・営業時間でも記載しましたが、ティリンス遺跡は営業時間が15:30までと短めです。
1時間ほどで回れる遺跡ではありますが、午後から回る際はご注意ください。
■ギリシャの首都、アテネにも寄る場合はこちら!
7.まとめ
ティリンス遺跡はギリシャ最古の文明の遺跡であり、ギリシャ神話とも関わりが深い場所です。
ティリンス遺跡のサイクロプス様式は力強く、見ごたえがあります。
また案内板等は少ないものの、比較的綺麗に遺跡が残っているので、想像力を掻き立てられる遺跡です。
一見の価値ありですので、ミケーネ遺跡とセットで、ぜひ一度足を運んでみてください!
■同じミケーネ文明の遺跡、ミケーネ遺跡の記事はこちら!
コメント