数々の遺跡を持つギリシャでも、トップクラスに歴史あるミケーネ遺跡をご存知ですか?
ミケーネ王国はギリシャ神話の英雄ペルセウスが治めた国であり、ホメロスの叙情詩に詠われた国でもあります。
そのため、当然神話の国だと思われていました。
しかし、19世紀にドイツ人発掘家のシュリーマンがこのミケーネ遺跡を見つけ、神話上だけでなく実在した国だということがわかったのです。
今回はそんなミケーネ遺跡について、行き方から見どころ、注意点までしっかりご紹介していきます。
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目次
1.ミケーネ遺跡とは
ミケーネ遺跡とは、アルゴスから約15km北に位置する、古代ミケーネ王国の遺跡です。
ティリンス遺跡と合わせて世界遺産に登録されています。
時期としては、紀元前1600年〜紀元前1200年ごろのものです。
ちなみに、このミケーネ遺跡の文明(ミケーネ文明)は古代ギリシャ最古の文明である、エーゲ文明のうちの1つです。
古代ギリシャ自体が遠い昔なのに、その中でも最古と言われると、相当昔ですよね。
※エーゲ文明 = クレタ文明 + エーゲ文明
このミケーネ王国の有名な王様として、アガメムノン王がいます。
彼はホメロスの叙情詩『イリアス』にて、トロイア戦争のギリシャ連合軍側の総大将として描かれています。
■ミケーネ遺跡
2.アガメムノンとは
トロイア戦争のときのミケーネ国王です。
彼はギリシャ世界の各国をまとめ上げ、連合国としてのトップに君臨していました。
そのため、アガメムノンは「王の中の王」と評されています。
ホメロスの叙情詩『イリアス』では、妃を奪われた弟(スパルタ王メネラオス)のために、ギリシャ連合軍総大将としてトロイに戦争をしかけています。
◾️トロイア戦争の詳細はこちら!
このトロイア戦争時に、アガメムノンは女神アルテミスの怒りを買い、海が荒れたため、なかなか出航できませんでした。
そして、女神アルテミスを鎮めるため、自らの娘を生贄として差し出しています。
ちなみにこのとき、娘にはお見合いをさせると言って連れてきたのだとか…可哀想すぎます。
また、このアガメムノンは非常に強欲な王で、人の妻を奪って自分の妃としたり、トロイ王国の王女カッサンドラを戦利品として妾にしたりしていました。
(自分も人の妻を奪っているという…)
元夫を殺されて強制的に妃にされるわ、娘は殺されるわ、10年以上の戦争後に妾を連れて帰るわで、王妃クリュタイムネストラはアガメムノン王を憎んでいたようです。
まぁ当然ですよね。
そのため、最終的には王妃クリュタイムネストラとその愛人アイギストスによって、アガメムノンは暗殺されてしまいます。
そして、ここまでの話は全て、実話ではないと思われていました。
そもそもアガメムノン王が存在していないと思われていたのです。
しかし、トロイア戦争の実在を信じたシュリーマンによって、このミケーネ遺跡が発掘され、アガメムノンも実在した人物だとわかりました。
ちなみに、アガメムノンのマスクと呼ばれる、黄金のマスクがアテネ国立考古学博物館に展示されています。
3.ミケーネ遺跡への行き方・帰り方
3-1.行き方
私たちはナフプリオからミケーネ遺跡に行きました。
そのため、ナフプリオからの行き方を記載しています。
途中の停車駅にアルゴスがありましたので、アルゴスからも行けると思います。
(というか、アルゴスの方が近いので行きやすいと思います)
ナフプリオ→ミケーネのバスは1日に1本しかありません。
9:30発で所要時間40分、料金は片道1人2.9ユーロ(約455円)です。
帰りのバスも1本しかないので、行きのチケットと合わせて帰りも買っておきましょう。
バスはミケーネ遺跡の入り口のすぐ近くで降ろしてくれます。
◾️ナフプリオ→ミケーネ 時刻表
KTEL Argolida
◾️オンラインチケットサイト(バスターミナルで買うことも可能)
KTEL E-Ticket
※「Mikines(ミケーネ)」と名のつくバス停がいくつかありますが、「Mikines (OREA ELENI)」のバス停までのチケットを買いました。
■ナフプリオバスターミナル(バス停みたいな小ささ)
ナフプリオは小さな街で、観光スポットもバスターミナルの近くに集結しています。
そのため、宿も中心部で予約することをオススメします。
3-2.帰り方
帰りのバスは行きで降ろされた場所と同じで、ミケーネ遺跡の駐車場まで来てくれます。
バス停ではなく駐車場なので、ツアーバスも多く来ています。
そのため、行きと同じローカルバスを探す必要があります。
3-1.行き方で記載しましたが、帰りのバスも1日に1本しかありませんので、行きのチケット購入時に帰りの分も買っておいてください。
帰りは12:00発です。
ミケーネ遺跡の滞在時間が2時間もありませんので、遺跡を回る際はご注意ください。
普通に回れば時間は足りると思いますが、休憩したり、のんびり回ると途中で切り上げる必要が出てくるかもしれません。
※特に、アトレウスの宝庫はミケーネ遺跡メインスポットから歩いて5〜10分の距離がありますので要注意です。
ミケーネ遺跡のメインエリアは普通に見れば1時間以内に見終わると思います。
博物館は10分、アトレウスの宝庫は徒歩時間含めて25分程度です。
■ミケーネ遺跡に行くなら、すぐ近くのティリンス遺跡もぜひ行きましょう!
3-3.アルゴスとナフプリオどちらでの宿泊がおすすめ?
ナフプリオ、アルゴスから行ける有名な遺跡としては、「ミケーネ遺跡」「ティリンス遺跡」「エピダウロスの劇場」があります。
おそらくアルゴスからも行けると思いますが、KTELのサイトでは出てきません。
確実にすべてローカルバスで行きたいのであれば、ナフプリオがオススメです。
(ナフプリオ→ミケーネ、ティリンスは実際私が行きました。)
■ナフプリオ→エピダウロス 時刻表
KTEL Argolida
私たちはアルゴスには行っていませんが、アルゴスは神話に出てくるアルゴス王国の地、ということもあり、市内中心部から1km以内の距離に劇場やアゴラなどの遺跡が多く存在するようです。
ナフプリオは市内の丘に要塞がありますが、遺跡はやや少なめです。
海辺の街なのでリゾート感が満載でビーチがあったり、海沿いの遊歩道があったりします。
ということで、「神話の地に行きたい」「街中でも遺跡観光したい」という方はアルゴスへ。
「ローカルバスで確実に3つの遺跡を回りたい」「リゾート気分も味わいたい」「街ではゆったりと過ごしたい」という方はナフプリオへ行きましょう。
4.料金・営業時間
ミケーネ遺跡・博物館の料金・営業時間は下記の通りです。
<料金> 1人12ユーロ(約1,900円) <営業時間> 8:00〜20:00
1つのチケットで、ミケーネ遺跡・博物館・アトレウスの宝庫すべて入ることができます。
無くさないようにお気をつけください。
また、その他の遺跡とセットになったSingleチケット(20ユーロ)というものもありました。
<Singleチケットで行ける場所と個別チケット代> ・ミケーネ遺跡と博物館(12ユーロ) ・ティリンス遺跡(8ユーロ) ・アジネ遺跡 ・アルゴスのビザンチン博物館 ・ナフプリオ考古学博物館 ・ナフプリオのパラミディ要塞(8ユーロ)
有効期限は3日間です。
おそらく、各スポットで購入可能です。
少なくともミケーネ遺跡とティリンス遺跡では購入可能でした。
5.見どころ
ここからはミケーネ遺跡の見どころをご紹介します。
Youtubeに動画もアップしていますので、より雰囲気を知りたい方はぜひこちらもご覧ください。
5-1.獅子門
英名だとライオンゲートと呼ばれ、ゲートの上に2匹のライオンが描かれた、三角形の巨石が乗っています。
これはミケーネ王家の紋章とも言われています。
デザインも素晴らしいのですが、この巨石、しかも三角形のものを支える技術が3000年以上も昔から存在していたことに驚きます。
後にご紹介するアトレウスの宝庫を見ても、ミケーネ王国は非常に優れた技術を持っていたことがわかります。
5-2.アトレウスの宝庫
続いての見どころは、アガメムノンの父王アトレウスの宝庫です。
この宝庫も建築技術が素晴らしいので、ぜひ見ていただきたいです。
まず、入り口の綺麗な三角形の空洞に着目してください。
紀元前の時代にこんなに美しく、崩れない空洞を作れるなんてすごいと思いませんか?
また、宝庫内にも驚かされます。滑らかな円錐になっているのです。(鉛筆みたいな形)
この滑らかな曲線を描いて積まれた石がずっと崩れずに、3000年もの間残り続けているなんて驚きです。
ピラミッドも「古代にあんな建築物を作る技術があったのか」と評されていますが、ミケーネ遺跡もピラミッドより規模は小さいものの、素晴らしい技術だと思います。
アトレウスの宝庫は、ミケーネ遺跡のメインエリアから5〜10分ほど歩いたところにあります。
一度ミケーネ遺跡を出る必要があり、一度出ると再入場できませんので、ご注意ください。
また、帰りのバスはミケーネ遺跡メインエリアの駐車場から出発します。
5-3.王宮跡
ミケーネ王家の王宮跡です。
日本もそうですが、古代の王家の人が住む場所というのは、1番高い位置にあります。
このミケーネ遺跡も王宮は高い位置にあるんですが、1番高い場所ではないのが不思議でした。
1番高くて広い場所には何があるかと言うと、神殿があるのです!
これはミケーネ王家の信仰の厚さを表しているのではないかと思います。(実際、お告げに従って王女も殺されているわけですし…)
複数の遺跡を見学していると、似たり寄ったりで退屈に感じることもあるかもしれません。
しかし、このように違う部分を見つけて、そこからその国の特徴をイメージしたりすると、新たな楽しみ方ができると思います。
5-4.円形墓地
ここはミケーネ王家の人々のお墓だったと考えられています。
このように巨大な円形の墓地が綺麗に残っているのは珍しいです。
そもそも墓地自体、遺跡で見ることは少ないのですが、残っていても石がまばらにあったりするのみです。
それがミケーネではガッツリ残っているのです。
しかも、かなりの大きさです。
これだけ立派なものが作られているということは、ミケーネ王家がいかに強権だったかがわかると思います。
■Youtubeでもご紹介しています
6.注意点
ミケーネ遺跡観光時の注意点は下記の通りです。
- 暑さ対策をしっかりする
- 水分を持参する
- 時間管理をしっかり行う
- 再入場不可ということを考えて行動する
ミケーネ遺跡は太陽の照りつけが強い場所にありますので、日焼け止め・帽子・サングラスなど準備はしっかりしてきた方が良いです。
また、遺跡内では売店などありません。(駐車場にはあります…が、高いと思います)
水分は持参しましょう。
3.ミケーネ遺跡への行き方・帰り方でも書いていますが、帰りの最終バスの時間が早いので、ゆっくり回っていると乗り遅れます。
常に時計を見ながら回りましょう。
1つのチケットでミケーネ遺跡、博物館、アトレウスの宝庫すべてに入場できますが、入場は一度きりです。
例えば、涼しい博物館で休憩したい、トイレに行きたい(博物館近く)などがあれば、遺跡を出る前に済ませましょう。
■ギリシャの首都、アテネにも寄る場合はこちら!
7.まとめ
ミケーネ遺跡は、古代ギリシャの中でも非常に古い遺跡です。
以前は神話と思われていたミケーネ王国ですが、19世紀になって王国やアガメムノン王は実在していたということがわかりました。
発見された遺跡はかなり綺麗に残っていて、当時の建築技術の高さを垣間見ることができます。
ギリシャに行かれる場合は、古代世界のロマンに浸れるミケーネ遺跡に、ぜひ一度行ってみてください。
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