ゴールデンウィーク期間中にパタゴニアのエルチャルテンに行って、フィッツロイを拝んできました。
拠点となる街エルチャルテンまでの行き方や、トレッキング時の注意点、その他エルチャルテンの街の様子など、2024年5月時点の情報をお届けします。
特に春・秋に行かれる方は、日本の感覚のまま行くと、途中で挫折してフィッツロイを見れずに帰国するハメになることもあり得ますので、ぜひご覧ください!
【この記事を見ると分かること】
- 春・秋にフィッツロイに行く際の注意点
- 4〜5月の登山道の様子
- エルチャルテンまでの行き方
- 必要な装備
■その他のアルゼンチンの記事はこちら!
この記事は2024年4〜5月時点のブルーレート、1ARS=約17円で計算しています。
アルゼンチンはインフレ中で、ARS(ペソ)の価値が下がっていっています。
料金についてはARS金額よりも、日本円換算金額の方をチェックしてください。
目次
1.エルチャルテンとは
エルチャルテンとは、アルゼンチンにある街の名前です。
そして、アウトドアブランドの名前としても有名な「パタゴニア」は、実は国の名前でも街の名前でもなく、エリアの名前です。
アルゼンチンとチリにまたがる、南アメリカ大陸の南端部分のエリアのことをパタゴニアと呼びます。
パタゴニア地方には、一例として下記のような街が含まれています。
【アルゼンチン】
- エルチャルテン
- エルカラファテ
【チリ】
- プエルトナタレス
- プンタアレナス
- ウシュアイア
ちなみに、アウトドアブランドのパタゴニアのマークにもなっている有名な山、フィッツロイの最寄りの街がエルチャルテンです。
2.エルチャルテンまでの行き方
まずは飛行機で、最寄りの空港のエルカラファテ空港を目指します。
エルカラファテ空港から、エルチャルテンまではバスで約3時間の距離です。
空港からでも、エルカラファテの街からでも、エルチャルテンに行くことができます。
空港から行く場合は、飛行機を降りてすぐの預け荷物を受け取る場所にバス会社の窓口があります。
制限エリアを出てすぐのところにも同じバス会社の窓口がありますので、気づかず通り過ぎてしまっても大丈夫です。
エルチャルテン行きのバスを取り扱っているのはChelten TravelとMarga Taqsaの2つです。
私はMarga Taqsaを利用しましたので、そちらの情報を載せています。
【料金】
24,000ARS(約4,080円)
【所要時間】
約3時間
【頻度】
8:35、10:30、11:25、12:50の1日4本のみ
【クレジットカード使用可否】
使用可能
どちらもエルチャルテンのバスターミナルまで行きます。
■エルチャルテン バスターミナル
エルチャルテン→エルカラファテ or 空港までの行き方
上記のエルチャルテンのバスターミナルにChalten TravelとMarga Taqsaのチケット窓口があります。
料金はどちらも24,000ARS(約4,080円)で、出発時間はそれぞれ下記の通りです。
【Chalten Travel】
8:00、18:00
【Marga Taqsa】
8:00、13:00
※クレジットカードも利用可能です。
3.エルチャルテンからトレッキングコースの入口への行き方
エルチャルテンの街から、フィッツロイのトレッキングコースの入口に行くのは非常に簡単です。
下記の場所まで徒歩で行けばOKです。
エルチャルテンの街の反対側にあるバスターミナルからでも、歩いて20分強で着きます。
エルチャルテンは小さな街なので、公共交通機関はありません。
ちなみに、フィッツロイのトレッキングコースは無料です。
4.春・秋のトレッキングの注意点
私は4月末から5月初めのGW期間中に行ったのですが、絶対気をつけたいことがありましたので、以下に記載しています。
日本の季節が春または秋のときに行く際、気をつけたいことは下記2点です。
- 雪を想定した装備にする
- 遅くとも19時までには街に戻る
①雪を想定した装備にする
フィッツロイは南半球にあるので、日本と季節が逆です。
(日本)春 → (フィッツロイ)秋
(日本)秋 → (フィッツロイ)春
上記のようになるわけですが、困ったことにフィッツロイの春・秋には雪が降るのです。
私が行った4〜5月は最高気温4℃、最低気温−4℃という寒さで、雪がしっかり積もっていました。
なんなら、道は凍っていました。
当然のごとく、フィッツロイのトレッキングコースも雪が積もっており、道の半分近くは凍っていました。
そのため、アイゼンとトレッキングポールを準備するようにしましょう!
特にアイゼンは、ないと本当に危ないです。
アイゼンなしで歩いている人は、他の人の半分くらいのスピードで歩いていましたが、やはり滑っていました。
アイゼンは日本で購入しておくか、
エルチャルテンの街のホテル、アウトドア用品店でレンタル or 購入可能です。
雪が積もってるかわからないので、日本で買いたくないなぁという場合は、ホテルにレンタル可能か確認しておきましょう!
また、手袋も必須です。
雪が積もった急な斜面を登り降りする時に手を使うことがありますが、手袋がない場合は良くてしもやけ、悪いと凍傷になります。
その他には、水をはじくマウンテンパーカー、帽子、ネックウォーマー、サングラスなどがあると安心です。
トレッキング中はかなり汗をかくことになりますので、脱いだり羽織ったりしやすい服装がおすすめです。
もちろん、その年の温かさによって状況も変わってきますので、時期が近づいてきたら宿泊先に連絡を取り、積雪具合を確認するのがオススメです。
積雪時のおすすめ装備まとめ
【必須】
・アイゼン
・手袋
【できる限り用意したい】
・トレッキングポール
【あったほうが良い】
・マウンテンパーカー
・帽子
・ネックウォーマー
・サングラス
②遅くとも19時までには街に戻る
エルチャルテンに行った方のブログを見ていると「夜暗くなるのが遅い」という言葉を見かけると思います。
これは夏のフィッツロイ(日本だと12〜2月頃)に行った方の記事です。
春・秋のフィッツロイは、19時にはもう足元が見づらいほど暗いです!
一番人気のトレッキングコース(ラグナ・デ・ロス・トレス)は、夏でも往復で8時間ほどかかるコースですが、積雪がある場合は9〜10時間ほどかかります。
朝9:00に出ても、街に戻るのが19時頃になってしまうわけです。
日の入りが早いこと、雪で足が遅くなることを見越して、早めに出発する計画を立てましょう!
遅い時間に出発するときのもう一つのデメリット
「暗くなって危険」以外にもう一つデメリットがあります。
それは自分が行きの道を歩いているときに「反対側から帰ってくる人が増えて道が消えてしまう」ということです。
トレッキングコースの最終地点には、雪がたっぷり降り積もった急斜面があるわけですが、そこは踏み固められた足場がないと、登りづらくなります。
帰りの人が増えると、文字通り滑り降りてくるので、足場が消え、滑り台のような斜面の雪道だけが残されます。
実際私達が帰路についているタイミングで、これから急斜面を登ってくる人がちらほらいましたが、足場がなくなっており、かなり困っているようでした。
5.トレッキングコースの様子
私達は一番人気のトレッキングコース(ラグナ・デ・ロス・トレス)を行きましたので、そのコースをご紹介します。
大まかに書くと、下記のスポットを通って行きます。
- ミラドール・デル・フィッツロイ(展望台)
- ポインセノット(キャンプ場)
- リオ・ブランコ休憩小屋(ブランコ川)
- ラグナ・デ・ロス・トレス(トレス湖)
それぞれの区間の様子をご紹介します。
なお、難易度と所要時間を記載しておりますが、積雪時のものとなります。
難易度は、登山未経験者(筆者)を基準に記載しています。
①入口から「ミラドール・デル・フィッツロイ」
入口からミラドール・デル・フィッツロイまでは、山の中を歩いていきます。
登り坂が続きますが、登山というほどではないです。
行きの時点では、まだ雪も踏み固められていなかったので、そこまで大変な道のりではありませんでした。
ミラドール・デル・フィッツロイ(=フィッツロイ展望台)は、名前の通りフィッツロイを望む展望台です。
トレッキングを開始してから初めてフィッツロイを拝めるのがこのスポットですので、ここを最終地点としてトレイルするのもアリです。
所要時間
1時間半〜2時間
難易度
★★☆☆☆
②「ミラドール・デル・フィッツロイ」から「ポインセノット」
「ミラドール・デル・フィッツロイ」から、せっかく登った山を降りて、「ポインセノット」というキャンプ場を目指します。
キャンプ場と言っても、簡易トイレがあり、近くに小川が流れているだけの場所で、管理人等がいるわけではありません。
ちなみに、夫によるとトイレはすごく汚かったそうです
この間の道はとても易しく、緩やかな下り坂か、平坦な道が続きます。
フィッツロイが見える区間が多いですし、木の橋で小川を渡ったり、自然を楽しむ余裕すらあります。
所要時間
1時間〜1時間半
難易度
★☆☆☆☆
③「ポインセノット」から「リオ・ブランコ休憩小屋」
キャンプ場を抜けると、少し大きめの川があります。
これがリオ・ブランコ(ブランコ川)です。
川にはちゃんと木の橋が架けられているので、問題なく歩けます。
この間は勾配もほとんどありません。
この川を渡ると、難所の直前で休憩できる小屋があります。
(ベンチがあるだけです)
この先の道は、これまでの道のりとは比べ物になりませんので、しっかり休んでおきましょう。
所要時間
15分
難易度
★☆☆☆☆
④「リオ・ブランコ休憩小屋」から「ラグナ・デ・ロス・トレス」
最後は、これまでの道の記憶が薄れるくらいの難所です。
直線距離にして約1kmで、400mもの高さを登っていきます。
400mというのは、マンションで例えると約130階分です。
単純計算で20°の勾配です
まだ最初の方はちょっとゼーハーするくらいなんですが、途中からコケないように手も使いながら雪の斜面を登っていく形になります。
…とまぁ、登山未経験者にはかなりキツイ道のりだったのですが、それでも登っただけの価値はありました。
幻想的な色のトレス湖、そしてその背後にそびえ立つ圧倒的なフィッツロイは、言葉にできない美しさでした。
この場所では、皆さんおやつやランチボックス、マテ茶なんかを楽しんで、ゆったりと時間を過ごされていました。
頑張ったあとのご褒美ですね。
ちなみに、帰り道も結構大変でした。
私も含め、皆さん頑張っても歩いて降りられなさそうなところは、おしりから滑って降りていました。
あと、私は5回くらい滑って転びました。
所要時間
1時間〜2時間
難易度
★★★★★
番外編:「ポインセノット」から「ラグナ・カプリ」
帰り道は行きと同じ道を歩いても良いのですが、別の道もあります。
「ポインセノット」から「ミラドール・デル・フィッツロイ」に戻るのではなく、「ラグナ・カプリ」に向かう道です。
ラグナ・カプリ(カプリ湖)は比較的小さな湖ですが、凍った湖面とフィッツロイの組み合わせはなかなか美しいです。
行きとは違う道を歩きたい場合や、ラグナ・デ・ロス・トレスまで行くのはキツイ…という場合にはこちらに寄ってみてはいかがでしょうか?
※入口 → 「ミラドール・デル・フィッツロイ」 → 「ラグナ・カプリ」と巡って、1周することもできます。
詳しくはマップをご参照ください。
所要時間
1時間半〜2時間
難易度
★☆☆☆☆
6.エルチャルテンの街の様子
6−1.治安
エルチャルテンの街の治安は特に心配することはありません。
というのも、この街は基本的に観光客向けのお店やホテルしかない街です。
そのため、街にいる大半の人は観光客です。
街の中であれば、21時頃に出歩いていても、よっぽど問題はないでしょう。
6−2.物価
エルチャルテンの物価は高いです。
首都ブエノスアイレスや、イグアスの滝があるプエルト・イグアスにも行きましたが、エルチャルテンの方が高いです。
宿泊費の最安価格帯は2人1泊50,000ARS(約8,500円)で、夜ご飯は2人分で40,000〜60,000ARS(約6,800〜10,200円)ほどかかります。
※4〜5月の場合
6−3.レストラン
エルチャルテンには、街の規模の割に意外と多くのレストランがあります。
アルゼンチン料理はもちろん、ピザやパスタ、日本食なんかもあります。
私のおすすめは、以下のお店のアサド(アルゼンチン式BBQ)です。
現金払いで22,000ARS(約3,740円)でした。
大半のレストランでクレジットカードが使えますが、中にはクレジットカード払いだと10%ほどの手数料が取られる場合もあります。
ちなみに、フィッツロイのトレッキングコースには、一切飲食店・スーパーはありませんので、ご注意ください。
6−4.スーパー
エルチャルテンには、いくつかのスーパーがあります。
お菓子や飲み物を買うこともできますし、自炊用の野菜やお肉を買うこともできます。
Google mapsで「Supermercado」と検索すると出てくると思いますが、一応2箇所のスーパーの場所を記載しておきます。
値札がある商品が多いので、前者の方がオススメです。
どちらもクレジットカードが使えます。
6−5.アウトドアショップ
フィッツロイの最寄りの街ですので、アウトドアショップもいくつかあります。
防寒具や靴、水筒、トレッキングポール、その他山グッズを販売しています。
一部のアウトドアショップでは、アイゼンも販売・レンタルしているようです。
私は下記のお店に行きましたが、クレジットカードが使えました。
7.まとめ
日本の春・秋シーズンには長期連休があるので、フィッツロイを見に行かれる方も多いと思います。
しかし、パタゴニア地方では既に雪が積もっていることもあり、装備や計画には細心の注意が必要です。
しっかり下調べされてから臨むようにしてください!
コメント