スペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラは、毎年30万人もの巡礼者が訪れるキリスト教の聖地です。
このサンティアゴへの巡礼(カミーノ・デ・サンティアゴ)を実際にやってみたので、巡礼の仕方やルール等をご紹介します。
「興味があるけど、何をすればいいのかイマイチわからない…」
「スムーズに準備するにはどうしたらいい?」
などのモヤモヤは、この記事を読めば解決します!
※この記事は2024年4月時点のレート、1ユーロ=約165円で計算しています。
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目次
1.カミーノ・デ・サンティアゴとは
1−1.歴史
カミーノ・デ・サンティアゴとは、スペイン語から直訳すると「サンティアゴの道」という意味で、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼のことを指します。
※サンティアゴ・デ・コンポステーラは都市の名前です。
サンティアゴ・デ・コンポステーラはヴァチカン・エルサレムに並ぶキリスト教の3大聖地であり、毎年30万人もの人々が巡礼に訪れます。
なぜサンティアゴ・デ・コンポステーラが聖地になったのかというと、この地で聖ヤコブの遺体が見つかったためです。
聖ヤコブはキリスト教の十二使徒のうち、最初の殉教者となった聖人です。
(聖ヤコブのスペイン語名:サンティアゴ)
12世紀ごろから人々がサンティアゴ・デ・コンポステーラの地に巡礼に行くようになり、その後紆余曲折がありながらも巡礼地としての認知度を高めていきました。
現在のサンティアゴの巡礼は、ただ単にサンティアゴ・デ・コンポステーラに行くことだけが目的なのではありません。
徒歩・自転車といった手段で、何日もかけて100km以上の距離を進んでいく道中にこそ醍醐味があります。
そのため、現在ではキリスト教の聖地巡礼はもちろん、アクティビティとしての人気も高いです。
また、サンティアゴ・デ・コンポステーラの街が属するガリシア州も観光の目玉として売り出しています。
1−2.ルートの種類
サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すルート(道)は、実は1つだけでなく複数あります。
有名なものだと「ポルトガル人の道」「フランス人の道」「イギリス人の道」「北の道」などがあります。
(この〇〇人というのは、昔それぞれの国から巡礼者が歩いてきたため、こういった名前がついています。)
■巡礼ルートの種類はこちらをご覧ください
https://camino-de-santiago.jp/
どの道を選んでも問題はなく、巡礼のルールは変わりません。
下記のような基準で、ルートや出発する街を選ぶと良いと思います。
- サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの距離
- アップダウンの多さ(重要)
- 観光スポット
- 巡礼路の景色の良さ
各ルートの初めの街から出発する必要はありません。
※ただし、100km以上歩かないと巡礼したとは見なされません。
ちなみに、私達はトゥイの街からポルトガル人の道を進んでいきました。
ここからは具体的な巡礼のルール等をご紹介します。
「まだ巡礼するかどうかわからないけど、巡礼の雰囲気を知りたい」という方は、8.巡礼中のイメージまでスキップしてご覧ください。
2.カミーノ・デ・サンティアゴのルール
カミーノ・デ・サンティアゴを行い、最後に巡礼証明書をもらうためには、守らなければいけないルールが2つあります。
2−1.巡礼の距離・手段
まず1つ目は巡礼の距離と手段です。
各手段ごとに最低巡礼距離が設けられています。
- 徒歩、馬の場合…100km以上
- 自転車の場合…200km以上
各ルートの最後の部分で、上記の距離以上巡礼する必要があります。
【巡礼証明書をもらえないパターン】
ポルトガル人の道の初めの街リスボンから徒歩で100km以上巡礼
その後、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで電車で移動
【巡礼証明書をもらえるパターン】
ポルトガル人の道の終盤の街トゥイまでは電車等で移動
その後、トゥイからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは徒歩で100km以上巡礼
2−2.スタンプ
巡礼中は、クレデンシャル(巡礼手帳)を携帯し、スタンプを集める必要があります。
このスタンプというのは、宿泊施設や教会等でもらうことができます。
最終的に巡礼証明書をもらうには、下記のようにスタンプを集めなければいけません。
サンティアゴ・デ・コンポステーラからの距離が…
- 100km以内の区間…1日2つ以上
- 100km以上の区間…1日1つ以上
1日2つも集められるか心配でしたが、レストランやカフェでもスタンプを押してもらえるので、全く問題なしでした。
このクレデンシャルは後述のアルベルゲで宿泊する際にも必要になります。
3.アルベルゲとは
巡礼者はアルベルゲという安い宿泊施設に泊まることができます。
アルベルゲは公営のものと民営のものがあります。
基本的に巡礼者のための宿泊施設のため、クレデンシャル(巡礼手帳)の提示が必要になります。
どちらもドミトリータイプが基本で、チェックインは13:00〜、チェックアウトは〜8:00です。
(巡礼者は朝早くから歩き始めるため)
それぞれ特徴を紹介します。
3−1.公営アルベルゲ
公営アルベルゲの主な特徴は下記の通りです。
- 基本1泊10ユーロ
- 1泊しか泊まれない
- 予約不可
- 掛け布団なし
- キッチンの設備は貧弱
最大の特徴はやはり安さです。
そのため、巡礼者の多くは公営アルベルゲを目指します。
が、先着順のため、時期によっては満室で入れないこともありそうです。
私たちは4月に巡礼しましたが、ギリギリ満室にはなってないことが多かったです。
(でも、かなり宿泊客は多かったです)
ちなみに、キッチン有りと記載があっても、実態はどこも鍋や食器がほぼありませんでした。
ちゃんとした自炊は不可能と思った方が良いでしょう。
Wi-Fiはありますが、どこも弱めでした。
3−2.民営アルベルゲ
民営アルベルゲの主な特徴は下記の通りです。
- 1泊あたり13〜20ユーロ
- 連泊も可能
- 予約可能なことが多い
- 掛け布団あり
- キッチンは整っていることが多い
1番の特徴は連泊可能なことです。
天候や体調不良から、同じ街に2泊したいと考えている場合は民営アルベルゲがおすすめです。
※2泊する場合にも、それぞれの日に定められたスタンプ数を集める必要があります。
キッチン設備もそこそこ整っており、自炊しようと考えている場合は民営の方が良いでしょう。
あと、地味に掛け布団の有無は睡眠の質を左右します。
3−3.どちらの方がおすすめ?
どちらに泊まるか迷う場合は、下記のように判断すると良いと思います。
・外食もしたい場合
→公営アルベルゲ
・自炊もしてなるべく出費を抑えたい場合
・連泊・予約したい場合
・到着時間が夕方から夜になりそうな場合
→民営アルベルゲ
民営アルベルゲの方が少し綺麗なことが多いですが、快適さにおいては公営アルベルゲとの大きな違いはあまりありません。
(どちらもドミトリータイプ)
[公営アルベルゲ+外食]と[民営アルベルゲ+自炊]であれば、後者の方が多少かかる費用が抑えられるかと思いますが、差はそこまで大きくありません。
アルベルゲの付近には、10〜20ユーロで安くセットメニューを食べられるレストランが多く存在しています。
3−4.アルベルゲの探し方
アルベルゲを探す場合は、カミーノ・デ・サンティアゴの公式アプリを使うのがおすすめです。
■ダウンロードはこちらから!
Buen Camino – Apple store
Buen Camino – Google play
初期設定やアルベルゲ以外の使い方は5−1.公式アプリをご覧ください。
ホーム画面の右上の虫眼鏡マークより、宿泊したい街を入力して、選択します。
そうするとアルベルゲの一覧が表示されます。
宿泊料金やマップはもちろん、キッチン・洗濯機等の設備の有無まで表示されるので、とても便利です。
各アルベルゲをクリックすると詳細が表示されますので、Opens(date)=営業期間を特に注意してご確認ください。
というのも、民営アルベルゲの場合、冬期は営業していないことがあるためです。
公営アルベルゲの見分け方
アルベルゲの一覧が表示されたら、黄色の家のマークがついているアルベルゲをクリックします。
各アルベルゲの詳細ページの写真に「editorialbuencamino.com」と記載されていたら、それが公営アルベルゲです。
4.巡礼前に必要なこと
4−1.クレデンシャルの入手
巡礼を始める前に、クレデンシャル(巡礼手帳)を手に入れる必要があります。
クレデンシャルは教会や聖堂で2ユーロ(約330円)で購入することができます。
たまにカフェやお土産屋さんでも売っています。
巡礼中、宿泊施設や教会、カフェ、レストランでクレデンシャルにスタンプを押してもらうことができます。
押し忘れの無いように常に携帯しておきましょう。
クレデンシャル購入時に気をつけたいこと
クレデンシャル購入時には、自身の巡礼開始日を伝えておくことをおすすめします。
基本的にクレデンシャル購入日≠巡礼開始日だと思います。
にもかかわらず、購入日にスタンプと日付を記載されてしまうと、その日から毎日1つまたは2つ以上のスタンプを集めなくてはいけなくなってしまいます。
「◯月◯日から巡礼開始します」と伝えておけば、スタンプだけ押して日付は空欄にしてくれます。
ついでに① 巡礼登録
クレデンシャル購入時に巡礼登録に関する紙を渡されると思います。
携帯から登録できますので、こちらも事前登録推奨です。
(巡礼中にやっても問題ないですが、体が疲れていると思うので…)
■こちらからも巡礼登録ができます
https://oficinadelperegrino.com/en/sigle-register/
※巡礼の理由は「Religious」を選ばないと、巡礼証明書がもらえません。
ついでに② 帆立貝の入手
もう一つついでに、巡礼者であることを表す帆立貝も入手しておくと良いでしょう。
お土産屋さんやカフェ等で1.5ユーロほど(約248円)で購入することができます。
こちらは巡礼に必須のものではないですが、持っているとテンションが上がります。
4−2.荷物の発送
日本からスペインへ行く場合、巡礼に不要な荷物も持ってきていることと思います。
そういった不要な荷物は極力郵送してしまいましょう。
1日に20km前後も歩きますので、荷物は少しでも少ない方が良いです。
スペインの郵便局が巡礼者用の荷物郵送サービスを行っています。
郵送サービスは下記の2種類があります。
①サンティアゴ・デ・コンポステーラの郵便局への郵送
最寄りの郵便局から、サンティアゴ・デ・コンポステーラの郵便局へ荷物を郵送します。
オプション選択によって多少の差異はありますが、30ユーロ前後(約4,950円)です。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの郵便局では15日間荷物を預かってくれます。
(あらかじめ延長代を払っておけば最大30日保管可能)
■詳しくはこちら
https://www.elcaminoconcorreos.com/en/transfer-luggage
■サンティアゴ・デ・コンポステーラの郵便局
大聖堂からわずか5分ほどの場所にあります。
②次の宿泊施設への郵送
当日の宿泊施設から次の宿泊施設への郵送サービスです。
朝8:00までに荷物をまとめて宿泊施設に預けておくと、その日の14:30までに次の宿泊施設へ荷物を届けてくれます。
このサービスを使えば、移動中に衣服等を持たなくて良いので、荷物が最小限で済みます。
年配の方は割と利用しているようでした。
もちろん安くはないです。
1回の配送が33ユーロ(約5,445円)ですので、例えば5日で巡礼する場合は165ユーロ(約27,225円)になります。
とはいえ、無理をすると怪我をしたり体調を崩したりして、もっと費用がかさむ可能性がありますので、体力が不安な方は利用されてみてはいかがでしょうか。
■詳しくはこちら
https://www.elcaminoconcorreos.com/en/rucksack-transfer
4−3.現金の引き出し
盲点なのが、現金の準備です。
実は公営アルベルゲはすべて、クレジットカードでの支払いを受け付けていません。
(民営アルベルゲは受け付けている場合もあります。)
加えて、移動中に何度も寄ることになるであろうカフェ(Bar)についても、基本現金のみなことが多いです。
レストランで食事をする場合は、クレジットカードが使えることが多いですが、中には現金のみのお店もあります。
巡礼中に宿泊する街は、大きい街の場合もあれば小さい街の場合もありますので、現金の入手に苦労することもあるかもしれません。
事前に巡礼全体で必要になる現金を見積もり、引き出しておくことをおすすめします。
巡礼中にかかる費用例
アルベルゲ(宿泊施設)…1泊あたり10〜20ユーロ
レストラン…1人1食あたり約15〜20ユーロ
カフェ…1人1回あたり約1.5ユーロ ※飲み物のみの場合
カフェの利用回数の目安は5−2.実際の行程プランのイメージをご覧ください。
5.行程プランの立て方
ここからは実際に巡礼する予定の人向けに、行程プランを立てる際に必要となる情報やプランイメージをご紹介します。
5−1.公式アプリ
まず行程プランを立てる前に、カミーノ・デ・サンティアゴの公式アプリをダウンロードしてください。
各ルートの詳細やアルベルゲの一覧なども載っていますので、巡礼者必携のアプリです。
■ダウンロードはこちらから!
Buen Camino – Apple store
Buen Camino – Google play
ダウンロード後、アプリの言語と巡礼のルート選択、ルートのダウンロードを行います。
日本語はありませんので、英語選択したイメージで、以降紹介していきます。
ちなみに、のちのち別のルートを選びたくなった場合は、追加で別ルートもダウンロードして切り替えられます。
行程プランを作る際には、このアプリで以下の内容を調べることができます。
メニューより下記()内のページを選択して確認してみてください。
- ルートの概要及び基本の行程プラン(The route in detail)
- ルート上にあるスポット・街の一覧(Index of localities)
- ルートの高低イメージ(Route profile)
- 各街にあるアルベルゲの一覧(ホーム画面)
基本的にはThe route in detailに記載されている基本の行程プランを軸にするのがおすすめです。
「こんなに歩くの厳しそうだな…」と感じた場合は、基本の行程プランを少し調整する形にすると良いと思います。
私達は基本の行程プランを軸としつつ、初日から30kmも歩けるか不安だったので、初日のみ距離を半分にして宿泊する街を追加しました。
5−2.実際の行程プランのイメージ
私達が実際作った行程プランはこちらです。
下記の内容が網羅できていれば良いと思います。
- 出発地と到着地
- 距離と所要時間
- 宿泊予定のアルベルゲ
所要時間はGoogle mapをもとに調べたのですが、+30分くらいはかかりました。
あくまで目安ですが、概ね1時間に1回20分ほど休憩していました。
休憩の際は1日に最大3回ほどカフェを利用し、残りはベンチで済ませていました。
6.巡礼証明書のもらい方
6−1.巡礼証明書をもらうために必要なもの
巡礼証明書をもらうためには下記2つが必要です。
- クレデンシャル(スタンプ捺印済み)
- 巡礼登録
クレデンシャルのスタンプのルールについては、2−2.スタンプをご覧ください。
巡礼登録は証明書をもらう直前にもできますが、きっと恐ろしく疲れていると思うので、巡礼を始める前に登録しておくのがオススメです。
■こちらから巡礼登録ができます
https://oficinadelperegrino.com/en/sigle-register/
※巡礼の理由は「Religious」を選ばないと、巡礼証明書がもらえません。
ちなみに費用はかからず、無料でもらうことができます。
6−2.実際のもらい方
サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いたら、まずは大聖堂で祈りを捧げ、その後巡礼事務所に行きます。
■巡礼事務所
巡礼事務所に入ったら、事前に登録しておいた巡礼登録のQRコードの画面を出して、職員に見せます。
その後、番号札が渡されるので、自分の番号が呼ばれたら窓口まで行き、クレデンシャルを提出します。
(ちょっと自信がないのですが、パスポートも見せたと思います)
クレデンシャルとスタンプの確認がされて、その後巡礼証明書がもらえます。
ちなみに、1つ1つのスタンプの日付をじっくり見るのではなく、ざっくり最初の日付とスタンプの数を確認していたようでした。
待ち時間はほぼなく、事務所に着いてから巡礼証明書をもらうまで、おそらく10分ほどでした。
以前は非常に並んだようですが、機械が導入されて劇的に早くなったようです。
希望すればここで、距離証明書(何km歩いたか)を有料でもらうこともできます。
7.持ち物について
ここでは、巡礼中に必要な持ち物についてご紹介します。
ちなみに、巡礼前に不要な荷物をもっているようであれば、郵送サービスでサンティアゴ・デ・コンポステーラまで送ってしまいましょう!
(詳しくは4−2.荷物の発送をご参照ください。)
では、持ち物リストはこちらです。
【移動中に必要なもの】
- 防寒具
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- 折りたたみ傘
- かっぱ・マウンテンパーカー
- 絆創膏
- クレデンシャル
- 帆立貝
【シャワー・洗濯で必要なもの】
- タオル(フェイスタオル推奨)
- シャンプー・石鹸
- 化粧水等
- 歯磨きセット
- 洗濯バサミ(5個ぐらい)
- サンダル
- 着替え
【電子機器類】
- ソケット変換アダプター
- 携帯式充電器
- USB充電ケーブル
【その他】
- ビニール袋
- 湿布
- 着圧ソックス
- 寝袋
①移動中に必要なものについて
スペインの日差しは強いので、サングラスは必須です。
大雨の日はかっぱだけだと移動が大変なので、折りたたみ傘推奨です。
また、足に水ぶくれができることも多々ありますので、絆創膏はすぐ出る場所にしまっておきましょう…
②シャワー・洗濯で必要なものについて
公営でも民営でも、アルベルゲにタオル・シャンプー・石鹸はありません。
(ちなみにドライヤーも)
洗濯機を置いている民営アルベルゲもありますが、基本的にはシャワーを浴びる際に洗濯も自分でちゃちゃっと済ませます。
洗濯後はアルベルゲに備え付けてある洗濯紐にぶら下げて乾かします。
(公営も民営も必ず洗濯紐があります)
洗濯バサミも置いてある場合もありますが、不足しがちなので持参推奨です。
晴れの日であれば、日中乾かしておけばその日の夜には乾いています。
タオルはフェイスタオルぐらいの大きさが良いと思います。
私達は乾きやすいこちらのタオルを持っていってました。
(片面ガーゼ&片面パイルは、乾きやすさと触り心地を両立していておすすめです。)
サンダルはシャワーを浴びるときと、街歩きのときにも使いますので、そのイメージで準備してください。
街歩きの際は、痛くて靴が履けません
③電子機器類
基本的に公営アルベルゲのドミトリーベッドには、USBポートしかついていません。
ソケットは共用スペースにしかないので、USBの充電ケーブルは必須です。
また、一部のアルベルゲでは、1人1つソケットやUSBポートがないこともありました。
そうなると共用スペースにあるソケットの奪い合いになります。
そういった場合は、大容量の携帯式充電器を持っておくと安心です。
④その他
公営アルベルゲには掛け布団がないので、寝袋を持ってきている人が多かったです。
(私達は下記の虫除けシーツを使いました)
移動後は足が非常に疲れているので、着圧ソックスを履いて、足の疲れをとっていました。
中には足を痛めてしまっている人もいたので、一応湿布もあると良いと思います。
ただ、基本的に巡礼者の宿場町ですので、街の薬局で湿布やサポーターなどは購入可能です。
8.巡礼中のイメージ
8−1.スケジュール
巡礼中はざっくり下記のスケジュールで行動していました。
ちなみに、私達は通常朝ご飯と夜ご飯しか食べないので、昼ご飯はありません。
他の方は移動中にカフェ(Bar)で昼ご飯を食べていました。
06:30 起床
08:00 出発
13:00〜14:00 アルベルゲ到着
14:30 シャワー
15:00 夜ご飯
22:00 就寝
8−2.移動中のイメージ
移動中はGoogle mapsなどを見ることは少なく、基本的に下記のような目印を頼りに進んでいきます。
だいたい1時間に1回ほど休憩をとっていました。
定期的に巡礼者用のベンチがあったり、カフェ(Bar)があったりするので、意外と休憩場所には困りません。
カフェではカフェオレ(スペイン語:カフェコンレーチェ)が1.5ユーロ前後と安く、さらには一緒に小さい甘味がついてくるのでありがたかったです。
ちなみに、他の巡礼者と会ったときや、追い抜いていくときは「Buen Camino」(ブエン・カミーノ)と声を掛け合います。
これは「良い巡礼を!」という意味です。
1日20km前後も歩くのですから、結構しんどいわけですが、こういった他の巡礼者との声掛けが、意外とモチベーションを高めてくれたりします。
また、基本的に皆さん同じ行程で歩くので、毎日同じ顔ぶれになり、アルベルゲで少し会話するようにもなったりします。
8−3.食事
食事の時間は結構気をつけるべきポイントです。
というのも、スペインはディナータイムが遅く、多くのレストランは下記のような時間帯で営業します。
ランチ 〜17:00
ディナー 20:00〜
公営アルベルゲは22:00になると出入り口が閉鎖されます。
そんななか、20:00オープンのお店に入るのは、ちょっとヒヤヒヤしますよね。
そのため、私達はランチ営業で夜ご飯を食べていました。
早く寝てしまうので、意外とお腹は空きませんし、心配なときはスーパーでスナックを購入していました。
ちなみに、朝食については、私達は前日にパンを購入していました。
他の方は朝から営業しているカフェで、朝食を食べている人もいました。
8−4.教会・聖堂
せっかく巡礼しているのですから、教会はできるだけ回りたいと思っていました。
…が、意外と私達のスケジュールと教会が開いている時間が合わず、あまり入ることができませんでした。
というのも、教会は基本的に朝は9:00〜12:00ごろ、夕方は17:00〜20:00ごろといったスケジュールで開いています。
午前の移動中は街から離れてしまっているので、ほぼ教会に出会うことがなく、夜ご飯の時間帯(14:30〜16:00)には閉まっているんですよね…
夜ご飯食べた後にもう一回外出すればいいだけなんですが、足が痛いので二度も外出するのはきつかったです…
そのため、完全節約型(100%自炊&カフェなし)で考えている方は、
思ったように教会でスタンプを集められない可能性があることにご注意ください。
ちなみに、こんなこと書いて良いのかわかりませんが、移動ルート上にある教会が開いていても、教会に寄らない巡礼者は結構多かったです。笑
巡礼が目的のはずですが、目的がわからなくなるくらい疲労と足の痛みがすごいからでしょうか…
8−5.アルベルゲ
アルベルゲはいくつか要注意ポイントがあります。
- チェックインは13:00から
- 22:00には出入り口が閉まる(皆も寝る)
- 8:00には出ていかないといけない
- 掛け布団なし(公営)
- 支払いは現金のみ(公営)
- ドミトリールームは土足厳禁
- シャンプーやタオルはなし(公営&民営)
- 英語は通じない
ベッドは早い者勝ちです。
3人以上のグループの人たちは、周りを気にせず話してうるさい傾向があるので、1人または2人で巡礼している人の近くのベッドを選ぶのがおすすめです。
とはいえ、いびきがうるさい人も割と多いので、質の良い睡眠をとるのはなかなか難しいかもしれません。
公営アルベルゲではソケットではなく、USBポートが各ベッドに備え付けられていることが多いです。
USB充電ケーブルをお忘れなく!
8−6.洗濯
民営の一部のアルベルゲには洗濯機がついています。
しかし、ほとんどの場合洗濯機はついていないので、自分で手洗いする必要があります。
シャワーを浴びるときに一緒に洗うことになると思いますが、これはなるべく早く洗ったほうが良いです。
なぜなら「日光が出ているうちに干せば乾く」「洗濯紐のスペースがなくなる」からです。
アルベルゲに到着してすぐシャワーを浴びて洗濯をすれば、夜までに乾きます。
また、アルベルゲは必ず洗濯紐を準備して、洗濯物を干せるようにしてくれていますが、宿泊者が多いため洗濯紐のスペースは奪い合いです。
「なるべく早い時間に干して、乾いたらすぐ場所を開ける」
これがスムーズな流れです。
ちなみに、手洗い後に洗濯物を絞ったら、タオルで洗濯物の水気をとると、より一層早く乾きます。
9.注意点
9−1.スタンプは毎日もらわないといけない
2−2.スタンプでも記載しましたが、巡礼証明書をもらうためには、毎日定められた数のスタンプを集める必要があります。
もし仮に体調不良等で同じ町に2日とどまるとしても、2日目にも同じ個数を集めないといけません。
同じアルベルゲに宿泊する場合、2日宿泊しても押してもらえるのは1日だけです。
レストランやカフェではほぼ必ずスタンプがあるので意外と困りませんが、必要な数を集められているか意識しておきましょう。
9−2.現金がたくさん必要になる
公営アルベルゲに泊まる場合、クレジットカードでの支払いはできません。
また、一部の民営アルベルゲでも現金のみのことがありますので、巡礼を始める前に現金を用意しておきましょう。
9−3.巡礼中の天気を事前に確認する
大雨の日に移動するのは本当に大変です。
移動中はもちろん、移動後にずぶ濡れになった靴や服の処理をするのも大変です。
もし、あらかじめ雨が降る日がわかっているのであれば、移動せずに2泊するのもありです。
私達は実際雨予報の日は移動せず、民営アルベルゲに2泊しました。
(公営アルベルゲは連泊不可のため)
レストラン等でスタンプも集められれば、2泊するのは全く問題なく、巡礼証明書ももらえます。
雨の日に無理して移動する必要はないので、こういった選択肢も考慮に入れてみてください。
9−4.夜ご飯は早く食べるのがおすすめ
スペインのディナータイムは遅く、レストランは20:00ごろから営業し始めるところが多いです。
しかし、アルベルゲの出入り口は22:00に閉まるので、可能であれば、17:00頃までにランチタイムに滑り込むのがおすすめです。
それまでにシャワーと洗濯も済ませておきたいので、なかなか忙しいですが、17:00までにディナーを済ませられれば、寝るまでの動きがだいぶスムーズになります。
9−5.アルベルゲに快適さを求めない
公営であれ、民営であれ、アルベルゲはドミトリーなので快適ではないです。
他の人の話し声やいびきがうるさいこともあったり、シャワールームが使いにくかったり…日本の宿の快適さとは比べ物になりません。
もしそういったことが耐えられないのであれば、ホテルに宿泊したほうが良いです。
ただし、アルベルゲだからこそ、巡礼者同士の会話があったり、一体感みたいなものを感じられたりすることはあります。
9−6.タクシーの番号を確認しておく
巡礼を始める前に、いざというときのためにタクシーの番号を確認しておきましょう。
(ついでに救急車も)
体力の限界の人、足を痛めた人はタクシーを呼んだりしていました。
足を痛めてまで歩く必要はないので、「やばそう…」と思ったときにすぐに呼べるよう、事前にタクシーの番号を確認しましょう。
10.おすすめのレストラン
私達が寄った街でおすすめのレストランをいくつか紹介しておきます。
Redondela(レドンデラ)の街
レドンデラの街でのおすすめのレストランはRestaurante Casa Muchaです。
ここではタコのガリシア風(18ユーロ)を食べることができます。
レドンデラはガリシア州に属するので本場の味ということです。
巡礼路のレストランにしてはちょっとお高いですが、ぜひ食べておきたいですね。
Caldas de Reis(カルダス・デ・レイス)の街
カルダス・デ・レイスでおすすめのお店はCafe Termasです。
こちらは16ユーロで前菜からメイン、デザート、飲み物まですべてついています!
お味も美味しいので、ぜひ行ってみてください!
Padron(パドロン)の街
パドロンの街でのおすすめのお店はO Alpendreです。
このレストラン含め、パドロンの街の物価は比較的高いです。
(民営アルベルゲも他の街より高い)
ですが、このレストランの栗豚のステーキ(35ユーロ)はぜひ食べてみてほしいです!
なんだこれ!っていうくらい美味しいです。
全く臭みもなく、でも肉々しい味です。
今まで食べた豚肉の中で一番美味しかったと言っても過言ではありません。
④サンティアゴ・デ・コンポステーラ
サンティアゴ・デ・コンポステーラの街でのおすすめのお店はDon Quijoteです。
巡礼者のマークがなぜ帆立貝なのか?
それはサンティアゴ・デ・コンポステーラで帆立貝がよくとれたからなのです。
となると、ぜひともサンティアゴ・デ・コンポステーラでホタテを食べたいところなのですが、
なぜかこの街でホタテが食べられるお店は多くないです…
紹介しているこちらのお店では絶品のホタテ(26ユーロ)を食べることができます。
ミシュラン掲載のお店なのでお値段ははりますが、やりきった自分へのご褒美としていかがでしょうか?
11.まとめ
サンティアゴ・デ・コンポステーラはキリスト教の3大聖地のうちの1つで、年間30万人もの人々が巡礼に訪れます。
巡礼自体がアクティビティとして人気があり、巡礼路及び宿場町もしっかり整備されています。
1日に20km前後も歩くため、もちろん体は疲れますが、サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いたときの達成感は何にも代えがたいです。
ぜひサンティアゴへの巡礼=カミーノ・デ・サンティアゴをやってみてください!
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