「イギリス料理はまずい」「イギリスにはフィッシュ&チップスしかない」こういった声は非常によく聞きますよね。
果たして、これらの噂は本当なのか?
イギリス料理を紹介しつつ、味をリポートしていきたいと思います。
世界一周旅行をしている私たちは、各国の料理を食べてきています。
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この記事は2023年10月時点のレート、1ポンド=約185円で計算しています。
目次
1.イギリス料理の特徴と歴史
伝統的なイギリス料理は、比較的簡単な調理方法(煮る・焼く・茹でるなど)、そして薄味が特徴です。
これらが「イギリス料理はまずい」と言わせる要因になっている部分もあると思います。
その背景には諸説ありますが、イギリスの「ジェントルマン」が関係しています。
ジェントルマンの語源になっているジェントリという、比較的裕福な身分の人たちが中心となり、清教徒革命という革命を起こして王権を打倒しています。
「清教徒」と呼ばれるほど、厳格で質素倹約な生き方をしているジェントリたちは当然、「質素な食事を摂るべき」という考えがあり、実際質素な食事をしていました。
つまり支配者階級であるジェントリたちが、質素な食事をしていたので、イギリスの伝統料理はあまり育たなかったと言えます。
(反対にフランスでは、貴族は豪華な食事をしていましたので、フランス料理は非常に発展しました。)
もちろんそれ以外にも、土地が痩せていて野菜の育ちが悪かった、産業革命で一般市民が食に時間をかける暇がなかった、など様々な理由があります。
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2.イギリス料理の紹介
昔のイギリス料理が未発達であったことは否定できなさそうですが、では現在はどうなんでしょうか。
有名イギリス料理を紹介していきたいと思います!
2-1.うなぎのゼリー寄せ(Jellied Eels)
まずご紹介するのは、名前も見た目も、非常に美味しくなさそうなこちらの料理(失礼)。
うなぎをぶつ切りにして、ゼリーで固めたものです。
日本を出てから約10ヶ月…久々にうなぎを食べられるとウキウキしたものです。
ですが、お味はですね…相当まずいです。
申し訳ないけど、本当にまずいです。
うなぎは皮・骨付きで、おそらく下処理もされていないので、泥っぽい臭さが強いです。
そしてゼリーの方はうなぎの出汁?か何かを固めたもののようですが、こちらもやや泥臭さがあります。
あまりのまずさに、食べるたびに身震いしながら食べました。
ちなみに他のお客さんがよく食べていたのは、シチュードイール(茹でうなぎ)で、茹でうなぎ・マッシュポテトにリカーというドロっとした液体をかけた料理です。
皆さんこれが好きみたいで、かなり多くの人が食べてました。
…が、こちらも泥臭さは多少緩和されているものの、同様に下処理されていないので、まずいです。
何より上にかかっているリカーという液体がまずい。
味のないお粥の液体部分をかけているような印象です。(やはりイギリス料理は薄味)
私たちは、この中ではマッシュポテトが1番美味しいね、となったんですが、
現地の方はマッシュポテトは残しても他は完食という人ばかり。
そのとき悟りました。
イギリス人と日本人の舌には、歴史的に築かれた好みの違いがあると。
私見ですが、魚の臭さを臭さと感じないのでしょう。(反対に、外国人の中には醤油が臭すぎて無理という人もいますし)
つまり、食べ慣れているのです。
早速気づいてしまった好みの違いにより、この後の料理への恐怖が募ります。
M.Manze
ロンドンに3店舗展開する、うなぎ料理のこちらのお店で食べました。
取り扱っているメニューは私が記載している「うなぎのゼリー寄せ」「茹でうなぎ」に加えてミートパイのみです。
うなぎのゼリー寄せ…6.5ポンド(約1,200円)
茹でうなぎ&マッシュポテト&パイ…10.9ポンド(約2,000円)
2-2.イングリッシュブレックファースト
「イギリス料理で美味しいものを食べたかったら、イングリッシュブレックファーストを3食食べると良い」
そんな言葉もあるのですが、何はともあれイングリッシュブレックファーストは美味しいという意味だと思います。笑
伝統的なイングリッシュブレックファーストは、下記のようにボリュームたっぷりです。
・トースト
・目玉焼き(or スクランブル or ポーチドエッグ)
・焼きトマト
・カリカリベーコン
・ソーセージ
・ベイクドビーンズ(チリコンカン)
・マッシュルーム炒め
・ブラックプディング
昔のイギリス人は1日2食しか食べなかったようです。(お昼前と夕方)
それでこんなにモリモリになったのですね。笑
こういった朝食は一般市民というよりは貴族がよく食べたものだそうです。
イングリッシュブレックファーストは、基本的に油っけが多く、味付けはシンプルです。
ソーセージやらベーコンは想像通り美味しいのですが、食べ終わる頃には若干胃もたれします…笑
また、チリコンカンは思ったより味わいが深くて美味しかったです。
イングリッシュブレックファーストの唯一クセモノはブラックプディングです。
これは好き嫌いが分かれるかもしれませんね。
豚の腸に、豚の血・オート麦・脂肪・ハーブ・スパイスを詰めたものです。
味はあんまりしません。スパイスやハーブの味が多少します。
特別美味しいわけでもなかったので、「豚の血」という忌避感のほうが私は勝ってしまいました…
ちなみに、お値段はかなり高いです。(約3,050円)
行ったお店
The Breakfast club
その名の通り、朝食専門店です。
イギリス内で17店舗展開しています。
昼過ぎまで営業していて、いつでもお客さんで賑わっていました。
イングリッシュ・フル・ブレックファースト以外にアボガドトーストやハンバーガーなどもありました。
The Full Monty(イングリッシュ・フル・ブレックファースト)…16.5ポンド(約3,050円)
2-3.フィッシュ&チップス
言わずとしれたイギリス名物のフィッシュ&チップスです。
日本だと魚が1口サイズに切られていることも多いですが、イギリスではどん!っと大きな切り身が多いです。
イギリスでは魚の下処理をしないことも多いと聞いて、「下処理をしてある店」を念頭にリサーチしました。
そのおかげか、実際食べてみると臭さもなく、普通に美味しかったです。
揚げたてなので肉厚・ふわっふわの魚でした。
ポテトは普通でしたね。笑
正直想像できる味ではありますが、肉厚の魚が美味しかったので良かったです。
Hobson’s Fish&chips
ロンドンの大英博物館近くにあるこちらのお店で食べました。
イートインもテイクアウトもやってます。
グルテンフリーやビーガン向けのメニューもあるようで、かなり現代的なお店でした。
フィッシュ&チップス…16.96ポンド(約3,140円)
2-4.スコッチエッグ
スコッチエッグはスコットランド発祥のイギリス料理です。
ゆで卵をミンチで包み、衣をつけて揚げたフライものです。
ゆで卵が中に入っているということで、半分に割ったときの見た目がとても鮮やかで美味しそうです。
実際のお味はというと…結構普通だったりします笑
薄味のメンチカツとゆで卵って感じですね。
想像通りの味です。
もう少し肉の部分に味がついてる方が好みだな〜と思いつつ、サワーっぽい味のソースをベッタリつけて食べました。笑
行ったお店
SHELL SEEKERS
ロンドンブリッジ近くのバラマーケットの中にあるお店です。
近くに大人気のパエリアのお店があるので、目印になります。
スコッチエッグ…6ポンド(約1,110)
2-5.パイ料理
イギリスではパイ料理も有名です。
具材をパイ生地で包み込んで焼くタイプを指し、パイ生地の上に具材が載っているタイプは殆ど見ません。
日本で有名なのは「ニシンのパイ」ですね。
『魔女の宅急便』の有名なセリフ「あたしこのパイ嫌いなのよね。」で覚えている方も多いのではないでしょうか。
実はイギリスのコーンウォール地方の名物「スター・ゲイジー・パイ」がニシンのパイなのですが、このパイは非常に気持ち悪い見た目をしています。笑
パイ生地に魚が丸ごと刺さっていて、魚が空を見上げるようになっているので「スター・ゲイジー(星を見つめる)」という名前なのです。
あまり美味しそうには見えませんが、ジブリ映画ファンなら一度は食べてみたいものです。
しかし、このパイはマイナー料理なのでロンドンでは食べられません。
日本語でも英語でも探しましたが、見つかったのはスターゲイジーパイの作り方のみです。笑
どうしても食べたい方はコーンウォールまで行きましょう。
話が長くなりましたが、私達が食べたのはスターゲイジーパイではなく、チキンとマッシュルームのパイでした。
こちらは普通に美味しかったです。(中の餡が若干中華っぽい味でした)
ただ、「普通」以上に美味しいものではなかったですね。
日本だとパイ包み料理はお目にかかることが少ないので、イギリスに行ったら食べてみることおすすめします。
Hobson’s Fish&chips
チキンとマッシュルームのパイもこちらのお店で食べました。
ロンドンにはパブが非常に多くありますが、たいていのパブならパイ料理を取り扱っていると思います。
チキンとマッシュルームのパイ…6.95ポンド(約1,290円)
3.イギリスのスイーツ紹介
続いてはスイーツです。
イギリスといえば、紅茶とスイーツ!料理は特別美味しいものはなかったのですが、こちらはかなり期待できるのではないでしょうか?
3-1.カップケーキ
まずはカップケーキです。
コロンと可愛いカップケーキは鮮やかな色のものも多く、見ているだけで楽しい気分になるものです。笑
カップケーキの発祥はアメリカですが、イギリスは「本場」と称されるほどカップケーキが大人気です。
紅茶との相性も抜群ですしね。
さて、私たちがカップケーキを食べたのは、イギリス王室のハリー王子とメーガン妃のウェディングケーキを作成した実力派パティシエのお店です。
お客さんがひっきりなしに来ていて、人気店であることが伺えます。
選んだのは桃のカップケーキとブドウのカップケーキです。
お味は…とても美味しい!!
まず、上のバタークリームが硬めなのですが、食べ応えもあり、品の良い甘さでGood!!
下の生地はしっとりして、甘すぎない素朴なお味でこれまた良い。
クリームと生地の相性も抜群です。さすが人気店。
紅茶やコーヒーと合わせて楽しむと、非常に優雅な気分になれました。
行ったお店
Violet cakes
先述の通り、ハリー王子とメーガン妃のウェディングケーキを製作。
かつ、付近の有名カフェにもケーキを卸しているという人気っぷり。
イートインスペースは少なく、8席ほどしかありません。
お持ち帰りも可能ですが、絶対中で食べたい!という人は混む時間帯(15時前後)は避けた方が良さそうです。
カップケーキ…1つ当たり4.5〜5ポンド(約830円〜約930円)
3-2.キャロットケーキ
イギリスでは中世から伝統的なキャロットケーキが食べられてきました。
なんでも、砂糖が高い時代に甘味の代用としてにんじんが使われたことが始まりだとか。
名前の通り、にんじんの味がするケーキですが、シナモン等のスパイスが使われており、かなり美味しいです。
にんじんの土っぽさが嫌いな方もいらっしゃると思いますが、あの味はあまりしませんので、ぜひトライしてみてください。
【行ったお店】
St. Jame’s Cafe
セントジェームズ公園の中にあるカフェです。
ケーキや、ブレークファーストメニューが有名です。
キャロットケーキ…5.7ポンド(約1,050円)
3-3.スコーン
個人的にイギリス旅行で必ず食べて欲しいのがこちら。
イギリスのスコーンは本当に美味しいのです!!
実はスコーンはイギリスのスコットランド発祥と言われています。
日本のカフェ等でスコーンを食べると、たいていパサパサのボロボロで、あまり好きではありませんでした。
…が、あれはアメリカ式のスコーンだったようです。
イギリスのスコーンを食べて、スコーンに対する味方が180度変わりました!
日本のアメリカ風スコーンはクッキーに近い味・食感でしたが、イギリスのスコーンはパンに近い感じです。
ふわふわで、中がしっとりしていて、スコーン自体は甘みが少なく小麦の味が美味しいです。
スコーンに塗るクロテッドクリームとジャムが、甘みとフルーティさを追加してくれます。
強すぎる甘みもなく、しっとり上品な食べ物で、これが本場のスコーンか…!と感動しました。
他のイギリス料理を食べなかったとしても、スコーンだけは是非食べてください!
行ったお店
Tea & Tattle
こちらのお店のアフタヌーンティーのセットでいただきました。
ふわっふわで、とても美味しかったです。
スコーン単体だと、1つあたり5.5ポンド(約1,020円)のようです。
3-4.アフタヌーンティー
イギリスに行ったらぜひ体験したいのがアフタヌーンティー。
日本でもホテルなどでアフタヌーンティーをやってますが、やはり発祥のイギリスで楽しんでみたいものですよね。
アフタヌーンティーを直訳すると「午後の紅茶」ですが、これは単純に紅茶だけを指しているのでは有りません。
サンドイッチなどの軽食、スコーン、小さなケーキを乗せた3段のケーキスタンド、そして紅茶のセットを楽しむ会そのものを「アフタヌーンティー」と呼びます。
アフタヌーンティーは19世紀のイギリスで、ある公爵夫人が始めたお茶会がもとになっています。
イギリスでは当時1日2食しか食事を取らなかったこと、そして女性はきついコルセットを巻いていたことから、夕方頃は空腹とコルセットの締め付けで、女性はかなり厳しい時間を過ごしていました。
そこで、夕食前に小腹を満たせるものを用意して、談笑しながら食べられるようにしました。
これがアフタヌーンティーの始まりです。
その後、アフタヌーンティーは小腹を満たすという役割だけでなく、社交の場としての役割も担うようになり、その文化が現在まで残りました。
こういった背景から、イギリスでアフタヌーンティーを楽しむのは少々ハードルがあります。
なぜなら、もともとは貴族の文化だったからです。
イギリスの高級ティーハウスは会員制のところも多く、そもそも観光客では予約が取れないお店もあります。
観光客が予約を取れるお店であっても、ドレスコードを設けていることが多いです。
私達が行ったのは、ドレスコードがないカジュアルな小さいティーハウスです。
(世界一周中なので、ドレスコードを満たした服を持ってませんでした…)
通常のティーハウスでは、アフタヌーンティーは1人あたり50ポンド(約9,250円)以上するところが多いのですが、私達が行ったお店は一人あたり24ポンド(約4,440円)とかなり良心的なお値段でした。
値段が安いので、あまり期待できないかな…なんて思っていたのですが、びっくり。
かなり良かったです。
まず1段目のサンドイッチですが、これは普通に美味しかったです。
そして2段目のスコーン、これがかなり美味しかったです。(詳しくは3−3.スコーンを参照)
3段目のケーキを食べる頃にはお腹いっぱいだったのですが、こちらも美味しかったです。笑
紅茶も1人に1つのポットがもらえましたし、サービス?なのか、レモネードもいただきました。(このレモネードが最高に美味しかった)
イギリス文化を体験しつつ、美味しいスイーツや紅茶を楽しめて、かなり満足度が高かったです。
行ったお店
Tea & Tattle
キングス・クロス駅の近くにあるティーハウスで、観光客もドレスコードなしで入ることができます。
店内はややアジアっぽいインテリアなので、純イギリス式ティーハウスに行きたい方には向いていないと思います。
ただ、お値段が安く、コスパがとても良いです。
私達は予約なしでギリギリ入ることができましたが、満員になっていたので予約をしたほうが良いと思います。
(予約は電話か、直接お店ですることができます。メールや予約フォーム等ではできません。)
Afternoon tea Set…一人あたり24ポンド(約4,440円)
3-5.STP(Stickey Toffee Pudding)
こちらはパブによくあるスイーツメニューで、飲み終わりにシメとして食べるんだとか。
スティッキー・トフィー・プディングということで、プリンなのかと思いきや、日本人がイメージするプリンとは全く違います。
イギリスではプディング=プリンではなく、蒸し料理全般を指す言葉です。
そのため、スイーツでなくてもプディングと呼ばれます。
スティッキー・トフィー・プディングは蒸しパンのようなモチモチとした生地の上に、カラメルソースのような味のトフィーソースをかけて、アイスクリームを乗せたものです。
香りはカラメルソース風で、味は相当甘いです。
アイスクリームと一緒に食べると、ちょうどよい甘さになり、美味しいです。
特別変わった味ではないのですが、日本ではなかなか見かけないので、旅行中はぜひトライしてみてください。
行ったお店
Hobson’s Fish&chips
こちらもフィッシュ&チップスのお店でいただきました。
香りがよく、美味しかったです。
Stickey Toffee Pudding…6.95ポンド(約1,290円)
■イギリスグルメをYoutube でもご紹介しています!
4.まとめ
まずいと噂のイギリス料理でしたが、私たちの総評としては「普通」でした。
(うなぎは結構きつかったですが)
イギリスに住んでいて日常的に食べる分には気にならないですが、旅行先だから期待度も高くて…という前提があると、たしかに「まずい」という表現をする人がいてもおかしくないな、とは思います。
また、料理によっては、イギリス人大多数と私達の間に、好みの差があるようには感じました。
イギリス人はシンプルな味付けを好んでいそう、魚の臭さが気にならなさそう、など…
スイーツに関しては、まずいということは全くなく、かなり美味しかったです。
さすが紅茶文化の国ですね。
イギリス旅行でなにか食べるときには、過度に期待しすぎず、スイーツを中心に計画すると良いと思います。
■ロンドンからのデイトリップ先も紹介しています
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