「トロイの木馬」の由来になった、トロイア戦争の遺跡が存在しているのをご存知ですか?
伝説だと思われていたこの戦争、実は歴史上起こっていたことで、しっかり遺跡もあります。
今回はトロイ遺跡への行き方や最新のチケット情報、そして遺跡の解説をしていきたいと思います。
結論から言うと、トロイ遺跡は観光客も多くなく、非常にオススメの遺跡です!
トルコに行かれる際は、ぜひ行ってみてください!
※この記事では2023/06時点のレート、1TL=約7円で計算しています。
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目次
1.トロイ遺跡とは
トルコの北西部にある遺跡で、紀元前3000年から西暦6世紀までの時代のものがあります。
何度も繁栄と滅亡を繰り返したため、地層のように第Ⅰ層〜第Ⅸ層まで遺跡が積み上がっているのです。
トロイ遺跡の各地層の時代は下記のとおりです。
第Ⅰ層 紀元前3000年〜2500年 第Ⅱ層 紀元前2500年〜2250年 第Ⅲ層 紀元前2250年〜2200年 第Ⅳ層 紀元前2200年〜1900年 第Ⅴ層 紀元前1900年〜1700年 第Ⅵ層 紀元前1700年〜1250年 第Ⅶ層 紀元前1150年〜950年 第Ⅷ層 紀元前700年〜85年 第Ⅸ層 紀元前85年〜西暦500年
このうち、第Ⅶのa層がトロイア戦争の時代で、第Ⅷ層はアレクサンドロス大王が生きていたヘレニズム文化の時代、第Ⅸ層はローマ帝国初期〜五賢帝の時代です。
発掘したのはドイツ人実業家のシュリーマン(1822~1890)です。
彼は幼少期に『イリアス』のトロイア戦争の伝説を聞いて「この話は実話に違いない!」と信じました。
その後、実業家として成功を収め、私財を投じてトロイ遺跡の発掘作業を行いました。
彼の執念は実り、トロイ遺跡の調査の結果、トロイア戦争は実在したことが証明されたのです。
2.トロイア戦争とは
ホメロスの叙情詩『イリアス』に詠われている戦争で、トロイvsギリシャ連合軍の戦いです。
ギリシャ連合軍には、かの有名なアキレスやオデュッセウスなどの英雄がついており、対するトロイには英雄ヘクトールや戦争の引き金となったパリスがいます。
戦いは10年にも及びましたが、最終的にはギリシャ連合軍が勝利し、トロイは滅亡しました。
ちなみに、マルウェアでも有名な「トロイの木馬」というのは、トロイ滅亡の鍵となった巨大な木馬のことです。
戦争終盤にギリシャ連合軍が降伏の印ということで、巨大な木馬を置いて去りました。
トロイは戦争の終結を喜び、木馬を城内に入れて宴を開きました。
しかし、この木馬の中にはオデュッセウス率いる精鋭部隊がおり、宴の最中に木馬から出て城門を開け、隠れていたギリシャ連合軍をトロイの中に引き入れたのです。
3.トロイ遺跡への行き方
トロイ遺跡に行く場合、イスタンブールからツアーバスで行くか、近くのチャナッカレという街で宿泊する方が大半です。
この記事では、チャナッカレからのローカルバスでの行き方をご紹介します。
<バス乗り場> チャナッカレ発…Atatürk Köprüsü橋の下 トロイ遺跡発…チケット売り場の前 <運賃> 1人片道35TL <乗車時間> 約40分
チャナッカレの南側の橋の下からローカルバスが出るため、そのバスに乗って40分ほどでトロイ遺跡に着きます。
チャナッカレは小さい街なので、このローカルバス乗り場も含めて、徒歩で回れます。
TRUVAというのがトロイ遺跡のことを表しています。
時刻表は下記の通りです。
左がトロイ遺跡発、右がチャナッカレ発です。
ローカルバスは1人35TL(約245円)でした。
チャナッカレ発のバスはトロイ遺跡の目の前、チケット売り場まで連れて行ってくれます。
逆に、トロイ遺跡発のバスは、チケット売り場の前まで迎えに来てくれます。
乗合バスなのでどこからでも乗れますし、どこでも降りることができます。
ただ回るルートは決まっていますので、バスが寄ってくれる停留所をご紹介します。(行き帰り両方同じ)
トロイ遺跡は早ければ1〜2時間ほどで見終えてしまいますので、トロイミュージアムに行くなり、近くの可愛らしい村に行くなり、セットで訪れるのが良いと思います。
近くの村にはカフェやレストラン、見晴らしの良い展望広場などがあります。
また、土産物屋さんもありました。
トロイ遺跡の土産物屋さんは強気の価格設定なのでこちらで買うほうが良いかもしれません。
近くの可愛らしい村↓↓
4.トロイ遺跡のチケット情報・営業時間
インフレが激しいトルコでは、数年前のチケット情報など、正直全くアテになりません!
(というか、半年前でも怪しい…)
一番確実なのはGoogleMapで遺跡を検索し、「チケット」タブより公式HPの情報を確認することです。
一応、参考としてチケット情報を載せておきます。
<チケット情報> 遺跡チケット…200TL(約1,400円)330TL ※2023/09/05時点の情報をいただきました。 遺跡チケット + トロイミュージアムチケット…350TL(約2,450円)600TL <営業時間> チケット売り場…08:30〜19:30 遺跡…08:30〜20:00
トルコ政府公式HP(トロイ遺跡)はこちら↓↓
https://muze.gov.tr/muze-detay?SectionId=TRV01&DistId=TRV
■トロイア戦争のもう一つの主役の国、ミケーネ遺跡はこちら!
5.トロイ遺跡の見どころ・マップ
トロイ遺跡のマップに、見どころを追記しました。
ボタンを押すと詳細を確認できます。
なお、マップ内の黒い点線が実際に歩ける道となっています。
①アテナ神殿
トロイ第Ⅷ層のころ、トロイの国の東側にはアテナ神殿がありました。
このアテナ神殿には、かの有名なアレクサンドロス大王も立ち寄っています。
アレクサンドロス大王は自身の鎧を献上し、トロイア戦争の英雄たちの墓参りもしていました。
またこの神殿では、トロイ第Ⅷ〜Ⅸ層の時代、女神アテナへの敬意を表して盛大なお祭りが毎年開かれていました。
現在残っているトロイ遺跡のアテナ神殿は見る影もなく、床石が残るのみですが、案内板に書かれたイメージ図を元に想像をふくらませることができます。
②城壁
トロイ第Ⅱ層の時代の城壁を見ることができます。
この城壁は保護レンガ(赤色)が上に積まれており、下の方の部分がトロイ第Ⅱ層時代のレンガです。
約4500年前の城壁の石が残っていることにも感動しますが、ここでは保護屋根にも注目していただきたいです。
この屋根は発掘作業前、このエリアが丘だった頃の高さ・形を表しているのです。
実際見てみると、発掘作業で相当な深さを掘ったということがわかると思います。
現在の遺跡は手前の城壁側より奥の宮殿側のほうが低い土地になっています。
しかしこれは発掘作業によるもので、作業前は城壁側から宮殿側にかけて高い土地になっていたことがわかります。
現在の見た目だけではイメージしづらいですが、この保護屋根をもとに、トロイという都市国家がどのような大きさだったのか想像すると、より一層この遺跡を楽しめると思います。
③傾斜路
この傾斜路はトロイ第Ⅱ層時代のものです。
この奥に続く要塞、宮殿へ荷物等を搬入するための路であったことがわかります。
一部復元されていますが、こんなにも綺麗に路が見られるのは珍しいと思います。
傾斜路の先に、今はなき要塞をイメージすると、まるで今にも荷馬車が通っていくような気がしませんか?
④トロイア戦争時代の遺跡
マップを見ると気づくと思いますが、トロイア戦争時代であるトロイ第Ⅶ層の遺跡は、綺麗に残っている部分が少ないです。
これは、シュリーマンが考古学者としては未熟だったために、第Ⅶ層がほぼ削ぎ取られてしまったからです。
その中でここは比較的綺麗にトロイア戦争時代の遺跡が残っています。
非常に部分的ではありますが、あの伝説の戦争の舞台がここに確かにあったんだと思うと、感慨深いものです。
⑤大衆浴場
この大衆浴場はトロイ第Ⅸ層時代のものです。
大衆浴場と言えばローマが思い浮かびます。(『テルマエ・ロマエ』の見過ぎでしょうか笑)
この第Ⅸ層の時代は、トロイはローマに属していました。
そのため、このような大衆浴場が存在していたのです。
⑥劇場
この劇場もトロイ第Ⅸ時代のものです。
ギリシャ・ローマでよく見る形ですよね。
トロイ遺跡で残っている劇場は小さめなのですが、綺麗に残っているので見ごたえがありますよ。
収容人数は1700〜2100人ほどだったと考えられています。
ローマ五賢帝のハドリアヌス帝もトロイを訪れたことがあり、その際敬意を表して建てられました。
⑦南門
ここはトロイ第Ⅱ層時代のメインゲートであった南門です。
ちょっと見づらいですが、画像右手前から保護屋根まで、宮殿へ続く道があったことがわかります。
(奥に見える保護屋根のすぐ手前が門になっています)
この南門からの眺めは、トロイという都市国家の全体図が想像できると思います。
手前には市民のための劇場・大衆浴場・議会室があり、奥の方にはアテナ神殿が建っています。
さらに城壁の内側へ進むと要塞兼宮殿が見えてきます…
神殿も宮殿も今は全く残っていませんが、このようにイメージを膨らませると、歴史を体感することができます。
⑧議会室
この議会室もトロイ第Ⅸ層時代のものです。
今はもう床石しかありませんが、近くに劇場・大衆浴場があったことも考えると、このあたりのエリアは市民が暮らすエリアだったことがわかります。
⑨その他
最後に、見どころではないですが、遺跡内の設備をご紹介します。
トイレ :入場してすぐのところに無料・清潔なトイレあり。(トイレットペーパーもあり) 土産物屋さん:同じく入場してすぐのところにあり。値段は当然高い。 カフェ :土産物屋さんと一体。リモナータが約100TL(約700円)という超強気の価格設定。
6.チャナッカレの観光情報
6-1.観光スポット
チャナッカレ市内の観光スポットは、チャナッカレ中心部にある木馬と海沿いの遊歩道のみです。笑
市内にある木馬はブラッド・ピット主演の『Troy』(2004)で使われたものです。
実は木馬はトロイ遺跡にもあるのですが、私が行ったときは残念ながら改修中でした…
海沿いの遊歩道は綺麗で、お店も多いのでお散歩に最適です。
観光客もそこまで多くなく、ゆったりとした雰囲気を感じられます。
また、チャナッカレ市内中心ではないですが、ガリポリ半島へのツアーもあります。
第一次世界大戦中にガリポリ半島は激戦区となりました。
トルコ人の友人曰く、「歴史的に非常に重要な地」とのことで、特に近代史がお好きな方はぜひ寄ってみてください。
6-2.グルメ
チャナッカレではPinar Helvasiというシロップ漬けのチーズケーキが有名です。
宿のオーナーから「ここが一番!」と言われたお店を紹介します。
Çanakkale Helvacısı Kadir Ustaというお店で、トロイ行きのバス発着場の近くにあります。
私が行ったときは1kg140TL(約980円)でした。
ただ、1kgも買ったら確実に多いので半分で十分です。
(私たちは二人で半分を分けましたが、それでも多かったです。笑)
味はかなり甘いです。
これに限らず、トルコのお菓子は全体的にシロップ漬けで激甘です。笑
とはいえチーズの味が良いので、私的にはかなり美味しいと感じました。
たくさん食べるとくどいのですが、少量だと美味です!
■トルコは美味しいグルメがたくさん。こちらもぜひどうぞ!
6-3.おすすめの宿
ぜひオススメしたいのがNR1ホテルという宿です。
<良い点>
- 市内中心部にあり、トロイ行きのバス停や木馬まで徒歩圏内
- 清潔
- 安い
- オーナーの人柄が良く、トロイ行きのバスやオススメのお店などあらゆる情報をくれる
- 冷蔵庫、ケトルがある
- 洗濯機が無料で使える (物干しもある)
- 近くにスーパーも安い食堂もある
<気になる点>
- 部屋・シャワールームが狭い
- 壁が薄い
- キッチンはない
6-4.オトガル⇔市内の移動方法
オトガル(長距離バスターミナル)と市内はかなり距離があるので、市バスで移動が必要です。
(チャナッカレのオトガルは、珍しくドルムシュが見当たりませんでした)
市バスはタッチ決済式のクレジットカードが利用可能で、1回9TL(約63円)です。
バスはオトガルから海沿いまで、下記のルートで20分強ほどかけて向かいます。
市内→オトガルも同様のルートです。
ヘレンホテルの向かい側が始発停留所で、C9というバスに乗るとオトガルに行けます。
バスは30分に1本ほど出ています。(ヘレンホテル前の停留所に時刻表あり)
ちなみに、ヘレンホテルの近くにバス会社がたくさんありますが、どこも市内からオトガルまでのシャトルバスは出していないようでした…
(唯一、KamirKocでシャトルバスありと言われましたが、実際案内されたのは上記の市バス)
チャナッカレ発のバスはネットで予約したほうがお得かもしれません。
6-5.チャナッカレ⇔主要都市の移動方法
この記事でもまとめていますが、Obiletというサイト・アプリを利用すると、とても便利です。
トルコで長距離バスを利用するのであれば、ぜひダウンロードしておきましょう!
ちなみに、トルコのバス外車はMETRO社が有名ですが、トルコ人の友人によると、3年ぐらい前まではMETRO社も良かったが、最近はあんまり良くないとのことです。
大手はMETRO、KamirKoc(カミールコーチ)などがありますが、地方の小さい会社も決して悪くないということでした。
実際、いくつかのバス会社を利用しましたが、座席の広さ・椅子のフカフカさ・お茶やお菓子の配布などにおいて、どの会社も日本のバスより良かったです。
PAMUKKALE(パムッカレ)社は、他のバスよりお菓子の配給回数が多くて嬉しかったです。笑
①イスタンブール⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約5時間
料金:250〜370TL(約1,750〜2,590円)
②イズミル⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約6時間
料金:240〜300TL(約1,680〜2,100円)
③ブルサ⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約5時間
料金:170〜230TL(約1,190〜1,610円)
④アンカラ⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約10時間
料金:350〜500TL(約2,500〜3,500円)
⑤アンタルヤ⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約15時間
料金:470〜580TL(約3,290〜4,060円)
⑥トラブゾン⇔チャナッカレ
移動方法:バス
移動時間:約23時間
料金:680〜700TL(約4,760〜4,900円)
7.まとめ
トロイ遺跡は「がっかり遺跡」などと称されることもあるそうです。
しかし、事前に歴史を調べたうえで、当時をイメージしながら回ると非常に興味深い遺跡だと思います。
遺跡の中には、ほとんど修復されて完璧な状態で見られる遺跡もあります。
その点、トロイ遺跡はあまり綺麗な形では残っていません。
だからこそ、約5000年という膨大な時間を感じることができる遺跡でもあると思いますし、遺跡としての美しさを感じることができる遺跡でもあると思います。
皆さんはがっかり遺跡と感じられるでしょうか?
それとも、悠久の歴史を感じるでしょうか?
コメント
こんにちは。2023年9月5日現在トロイ遺跡の入場料は330トルコリラでした。
こんにちは!
最新情報ありがとうございます!
記事にも反映させていただきました。
またかなり値上がりしたのですね…
たった3ヶ月で約1.5倍の値上がりに驚いています。。。
こんにちは。
本日トロイ遺跡を観光したものです。
こちらのサイトのおかげで、非常にスムーズにチャナッカレまでの移動と観光をすることが出来ました。ありがとうございました。
遺跡のチケットは、ミュージアムのチケットと抱き合わせで990リラ(日本円で約4400円)でした…。遺跡だけのチケットも頼めばくれたのかもしれませんが、デフォルトでは2つセットのチケットを販売していました。ご参考までに共有させていただきます。