エジプトで有名な観光スポットの1つである、アブシンベル神殿をご紹介します。
建築王ラムセス2世によって作られた巨大な岩窟神殿は、なんと「お引越し」という仰天の歴史もある、興味深いスポットです。
そんなアブシンベル神殿の歴史や見どころ、そして実際の行き方や料金まで、しっかりご紹介します。
※この記事は2023年11月時点のレート、1EGP=約5円および1米ドル=約150円で計算しています。
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1.アブシンベル神殿とは
エジプトで最も偉大なファラオ、ラムセス2世(別名オジマンディアス)によって、紀元前13世紀に作られた大神殿です。
エジプト南部の街、アスワンから車で4時間ほど南部へ行った場所にあります。
もともとは1つの岩山をくり抜いて作られた巨大な神殿でした。
20世紀にエジプトの大統領がアスワンに巨大なダム(アスワン・ハイ・ダム)を作ろうとした際に、アブシンベル神殿が水没する可能性がある、ということで、元の位置より約120m引っ越しさせられました。
その際、まだ発足して間もないユネスコが「人類共通の遺産を守っていこう」と資金援助を各国に呼びかけ、それが現在の世界遺産の考え方に繋がりました。
大神殿のお引越しの際には、大神殿を手作業でブロック状に切り刻み、車に積んで運んで、移動した先で鉄芯等も使いつつ、組み立てました。
実際のアブシンベル神殿をよーく見てみると、たしかに多少切られた跡があったりします。
ちなみに、大神殿のすぐ近くにはラムセス2世最愛の妃、ネフェルタリに捧げたアブシンベル小神殿もあります。
2.料金・営業時間
料金は下記の通りです。
入場料は大神殿と小神殿どちらも含まれた金額になっています。
<アブシンベル神殿&ドキュメンテーションセンター>
一般…415EGP(約2,075円)
学生…213.5EGP(約1,068円)
<光のショー>
一般…915EGP(約4,575円)
学生…463EGP(約2,315円)
※6歳以下の子供は無料
お支払い方法はクレジットカードのみとなります。
カメラの持ち込みは禁止されていますが、スマホでの撮影は無料です。
光のショーは夜に開催されているようですので、アブシンベル神殿付近に宿泊する方でないと見るのは難しいかもしれません。
ちなみに、オンラインでの購入も可能です。
egymonuments.com
<チケットオフィスの営業時間>
6:00〜17:00
3.行き方
基本的にアスワンに宿泊して、アスワンから向かうことが多いと思います。
(アブシンベル神殿近くに宿泊することも可能です。)
…が、アスワンからは車で4時間の距離なので相当長いです。
もちろん、お金に余裕のある方は、ツアーを予約して行くのが良いと思います。
節約派の方は、車の行き帰りのみ手配すると良いと思います。
私達はホテルの送迎サービスを利用しました。
<ホテルで予約した送迎のみのサービス>
1人あたり20米ドル(約3,000円)
<タクシーを個人手配するときの料金見本>
〜2500EGP(約12,500円)
タクシーは提示された金額を聞いたのみですので、交渉次第で1700EGP(約8,500円)くらいで行けると思います。
ただ、ホテルの送迎サービスのように、大きめのバンで10人ほどまとめて乗せて連れて行くタイプのほうが安く済むとは思います。
4.見どころ
4−1.アブシンベル大神殿
①ラムセス2世の巨像
アブシンベル大神殿の入り口前にそびえ立つ、4体の大きな彫像です。
すべてラムセス2世の像で、約22mもの高さがあります。
そしてその中央には、ラーホルアクティ(エジプト神話の太陽神で頭がハヤブサの神様)の像があります。
また、ラムセス2世の巨像の足元には、王妃やラムセス2世の子供の像があります。
どちらもラムセス2世の巨像と比べると小さくて可愛らしいです。
ちなみに、左から2番目の像は頭が転げ落ちていますが、これは神殿建設から数年後に地震で壊れたそうです。
神殿お引越しの際にも現状維持ということで、この像は壊れたまま運ばれました。
③オシリス柱
アブシンベル大神殿の中に入るとすぐ、列柱室があります。
オシリス神と融合したラムセス2世の像が8体どん!っと並んでいます。
非常に大きく、雰囲気のある像です。
岩窟の神殿のため中は薄暗いということもあり、ズラっと並ぶこの像はかなり神聖なものに感じられると思います。
③カデシュの戦いのレリーフ
列柱室に入ってすぐ左側にあるレリーフです。
これは、ラムセス2世の治世において最も有名な戦い、カデシュの戦いを描いたものです。
カデシュの戦いとは、ラムセス2世が現在のシリアあたりの領有権をめぐり、ヒッタイトのムワタリ王と争った戦いのうちの1つです。
このヒッタイトとの戦争は最終的に和平条約を結ぶことで集結していますが、実はそれが最古の和平条約とも言われています。
その和平条約の碑文が国連本部にも掘られているんだとか。
アブシンベル大神殿で見られるレリーフは、ラムセス2世がカデシュの戦いで活躍する様子を描いたものですが、このときラムセス2世は1000もの戦車隊を1人で相手したと言われています。
本来であれば、戦車は最低でも2人以上で乗るものだそうです。(馬を引く人と戦う人)
ですが、このときラムセス2世の従者は腰を抜かしてしまい、使い物にならなくなってしまいました。
すると、なんと自身の腰に手綱をくくりつけて、ラムセス2世が一人二役で進軍していったようです!
そんな勇ましいラムセス2世の様子をレリーフで見ることができます。
④神々と玉座に座るラムセス2世
この玉座には左から順に「プタハ神」「アモン・ラー神」「ラムセス2世」「ラーホルアクティ神」が座っています。
※プタハ神は商工の神様、アモン・ラー神は国家神、ラーホルアクティは太陽神
神々と同じ玉座に座っちゃうなんて、なかなかすごいですよね。
実はアブシンベル大神殿には、ラムセス2世の神格化に関する絵や彫刻が多くあります。
(徐々に神と同じ立ち位置になるラムセス2世の絵や、オシリス神と融合したラムセス2世の像など)
というのも、このアブシンベル大神殿は「ラムセス2世を神として崇めること」を目的に作られた神殿であるからです。
通りで、エジプト神話だけでなく、ラムセス2世の功績などが描かれているわけですね。笑
ちなみにこの至聖所は年に2回(2/22、10/22)に光が入るようになっています。
しかし、商工の神であり闇の神であるプタハ神には光が当たらないようになっている、ということで、かなり高度に計算された設計になっています。
4−2.アブシンベル小神殿
①ラムセス2世と正妃ネフェルタリの巨像
アブシンベル小神殿の入り口には6体のラムセス2世と王妃ネフェルタリの像が立っています。
右から順にラムセス2世・ネフェルタリ・ラムセス2世、ラムセス2世・ネフェルタリ・ラムセス2世です。
このように王妃の像をファラオと同じ大きさで作るというのは珍しく、ラムセス2世にとってネフェルタリがいかに重要な人物であったかということを知ることができます。
また、そもそもアブシンベル小神殿はネフェルタリのために建てられた神殿です。
ルクソールには、エジプトで最も美しい墓と言われるネフェルタリの墓もあり、ラムセス2世の寵愛っぷりがよくわかります。
②ラムセス2世を見守るネフェルタリ
アブシンベル小神殿の中に入ると、ハトホル女神(愛と美の女神)の列柱室があります。
その中には、ヒッタイトと戦うラムセス2世、そしてそれを見守るネフェルタリの絵が描かれたレリーフがあります。
こういった戦の場に女性が描かれるのは珍しいことですよね。
(実際には戦いにはついていってなさそうです。)
実はネフェルタリは外交もかなり行っていたらしく、ヒッタイトの王妃に手紙を出したりもしていたそうですよ。
③ハトホル神に捧げ物をするラムセス2世とネフェルタリ
また別の場所には、ハトホル女神にパピルスを捧げるラムセス2世とネフェルタリの絵が描かれたレリーフもあります。
ここでいうパピルスとは「世界最古の紙」のことではなく、その原材料となっている、花のパピルスのことです。
夫婦揃って描かれているのもまた、珍しい気がします。
(今までの神殿や墓では見ませんでした。)
ちなみに、ハトホル神は愛と美の女神ですが、実はこのアブシンベル小神殿ではネフェルタリが神格化され、ハトホル神と同一視されている部分があります。
5.注意点
①体調管理に気をつける
アブシンベル神殿はエジプトの中でもかなり南に位置し、とても暑いです。
私は11月に行きましたが、真夏のような暑さでした。
(サングラス、防止、日焼け止めは必須!)
また、外も暑いですが、神殿内は観光客が大勢いるので、これまた熱気がすごいです。
しっかり水を飲み、休憩もとりながら観光して下さい!
②思わぬチップ要求に気をつける
エジプトはどこも同じですが、観光スポットにはスタッフや警察がいますが、思わぬ形でチップや賄賂を要求されます。
日本だと親切心なのかな…と思うサービス(写真撮ってあげるよ)なども、後でチップを要求され驚くこともあると思います。
お金に関するトラブルになりそうな話は下記の記事にまとめていますので、ぜひ旅行前にご覧ください!
6.まとめ
世界遺産の発端ともなったアブシンベル神殿は、エジプトを代表する観光スポットの1つです。
建築王として名を馳せたラムセス2世が建てた大神殿、小神殿は、入り口の巨像やカデシュの戦いのレリーフなど、たくさんの見どころがあります。
アスワンから車で4時間と少し遠いですが、それでも行く価値のある場所だと思いますので、ぜひ行ってみてください!
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コメント
私もエジプトに旅行に行きます。一つ質問です。アスワンからアブシンベルまでホテルの送迎サービスを利用して向かったと書いてありますが、どこのホテルに泊まりましたか?
極うまらーめんさん、ありがとうございます!
私達が宿泊したのはDavid Hostelというホステルです。
◆Google maps
https://maps.app.goo.gl/u8fvfYMaLkNFTyEy6
しかしここはアスワンの中心部から遠く、近くにお店も少ないのであまりオススメはできません…
他のホステル・ホテルでも送迎はやっていると思いますので、中心地で宿泊先を探し、予約前に問い合わせしてみるのが良いのではないかと思います!